合成ガスかエチレンか――二酸化炭素とエタンの反応を制御する触媒を開発

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二酸化炭素(CO2)とエタン(C2H6)を反応させると、反応経路の違いにより合成ガス(水素と一酸化炭素が主成分)やエチレン(C2H4)など異なる化合物が生成する。温室効果ガスであるCO2と天然ガス中に含まれる炭化水素であるエタンを利用して、発電や液体燃料の製造に用いる合成ガスや塗料やプラスチックの原料となるエチレンに変換できれば有用だ。しかし、生成物が合成ガスとエチレンの混合物になってしまうと、目的の化合物の分離に手間やコストがかかってしまう。生成物の有効利用には、どちらか一方の反応経路への選択的な誘導が望まれる。

そこで、米国エネルギー省ブルックヘブン国立研究所、コロンビア大学、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校の研究チームは、CO2とエタンを合成ガスとエチレンに変換する反応について、反応経路を選択する際に重要な触媒の特徴について理論と実験の両面から研究し、重要な触媒原理を特定した。研究成果は『the Journal of the American Chemical Society』誌に2022年2月8日付で公開されている。

研究チームは、パラジウムと異なる金属とのバイメタル触媒(PdMx)を用いたCO2とエタンの反応について、速度論解析、in situ特性評価、密度汎関数理論に基づく計算を組み合わせて研究した。

その結果、反応経路を決定する2種類のPdMx触媒の構造が特定された。パラジウムとコバルトのバイメタルのように2つの金属が強く結合して合金を形成している場合は、触媒はC-C結合を切断しやすく合成ガスの生成が誘導された。一方で、パラジウムとインジウムの組み合わせのように結合が弱い場合は、触媒の酸素に対する親和力が合金の形成エネルギーよりも強いため、触媒表面に酸化物の膜が形成する。この構造はC-H結合の切断に適しており、エチレン生成の方向に反応が傾く。

この触媒の2種類の構造は、2つの金属がどれだけ強く結合しているかを示すバイメタル触媒の形成エネルギーと、反応中にCO2から放出される酸素と触媒の結合エネルギーという2つの一般的な記述子の相互作用によって捉えることができる。そのため、特定の触媒反応だけでなく、他のバイメタル触媒にも応用できると考えられる。

関連リンク

Steering conversion of CO2 and ethane to desired products

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