世界初の核融合発電試験プラントを建設――2024年に発電試験を開始 京都フュージョニアリング

京都フュージョニアリングは2022年7月6日、世界で初めて核融合発電システムによる発電を試験するプラント「UNITY(独自統合試験施設)」の基本設計を完了し、建設プロジェクトに着手したと発表した。プラントは2022年8月に建設を開始する予定で、2024年12月より発電実証試験を開始する。

UNITY発電プラントは、国内のパートナー企業複数社との協業により、建設。同社の核融合プラント機器とプラントエンジニアリング技術を統合的に実証し、核融合の商用化に向けた未踏の炉工学製品群を開発する。

京都大学発スタートアップの同社は、プラズマ加熱装置、熱取り出しブランケット、高性能熱交換器、水素同位体排気循環装置をはじめとした一連の特殊プラント機器群にて世界有数の技術力を有する。

UNITYは、核融合発電所の実環境に近い条件下で、「核融合炉からの熱取り出し」と「発電」に用いられる一連の特殊機器を統合的に開発試験することを目的に建設。2023年3月までにプラントの中核となる液体金属ループの一次建設を完工し、2024年末に世界初となる発電実証試験の開始を予定している。

UNITYは、放射性物質を用いずに、核融合炉内と同等の高温かつ強磁場の環境を構築。一連の発電システムを実証する。なお、放射性物質を用いず、核反応が生じないため、核的事故や放射性物質漏洩の危険性がない。

また、核融合炉と同等の環境を構築する「炉内環境試験装置」、熱を取り出す「ブランケット」、取り出した熱を輸送する「液体金属ループ」「先進熱交換器」「発電システム」、プラズマを加熱する「プラズマ加熱装置」、プラズマを排気する「ダイバータ」「水素同位体回収循環装置」、核融合燃料の循環を試験する「燃料サイクル実証系」を備える。

これまで核融合発電システムの試験施設は世界に存在せず、核融合による発電可能性を実証した事例もなかった。UNITYは、核融合プラントの主要な機器の試験施設、核融合発電の総合的な技術実証施設の双方で世界に先駆けた開発計画となる。

こうした一連の特殊プラント機器群は、ITER計画と連携して日本でも検討が進む原型炉計画で必要となる。さらにその前段階として建設が進む実験炉でも、プラズマ加熱装置や補機類を中心に世界的な機器需要が見込まれる。こうした機器の販売実績を持つ同社は、UNITYでの機器の開発と実証により、核融合プラント機器市場の開拓を強力に進めていく。

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