完全非接触で微小物体を拾い上げる「空中音響ピンセット」を開発 東京都立大

東京都立大学は2022年8月19日、同大学院システムデザイン研究科が、音波を利用して完全非接触で空間にある微小物体を選択的に拾い上げる「空中音響ピンセット」を開発したと発表した。研究成果は6月20日、応用物理学会が発行する「Japanese Journal of Applied Physics (JJAP)」で発表された。

音波が異なる媒質間を伝搬するとき、ある条件下で直流的な力を観測することがあり、この力は音響放射力と呼ばれる。この物理現象は古くから研究されており、音響放射力を利用すれば、非接触で物体に力を与えられることが知られている。また、音響放射力を応用して物体を空中に浮遊させる技術もあり、音響浮揚と呼ばれている。

こうした現象や技術を使い、微小物体を非接触で移動させる技術はこれまでもあったが、実用するにあたって反射音の影響がネックとなっていた。

同研究科では、半球型の超音波トランスデューサアレイをマルチチャンネル化し、逆フィルタによる最適化を用いて適応的な位相振幅制御を行い、半球の軸上に集中的な音響トラップを作ることで、ステージ上にある物体を安定的に完全非接触で拾い上げることに成功した。

同研究科では、開発した空中音響ピンセットを使えば、物理的接触のない状態を厳密に保つ必要がある試料の操作や、無重力空間などさまざまな環境下での微小物体の操作などへの応用が期待できるとしている。

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