摩擦係数とは?摩擦力の種類と材料別の摩擦係数一覧

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摩擦係数とは?

物体は接しているものとの間に、動きに逆らう力が生じます。この力を摩擦力と呼び、物体を動かそうとする反対方向の力となります。そして、物体が停止している状態と運動している状態の両方に、摩擦力が発生することには注意が必要です。それぞれに、異なる種類の摩擦力が存在しています。

摩擦力は公式を使って表すことが可能です。そこで使われるのが、滑りにくさを表す係数である、摩擦係数です。摩擦係数が大きいと摩擦力が大きくなり、小さいと摩擦力が小さくなります。摩擦力を計算するには、その物質固有の摩擦係数を明確にすることが不可欠です。摩擦力を求める公式から、摩擦係数は摩擦力と物体を動かすのに抵抗する力との比だと考えることもできます。

摩擦力の種類

摩擦力は、物体の状況に応じて発生する種類が異なります。静止している状態の物体を動かす時に生じる「静止摩擦力」、運動している間に生じる「動摩擦力」、転がっている際に生じる「ころがり摩擦力」の3種類に分類することが可能です。

静止摩擦力

静止している物体を動かそうとする時に生じるのが、静止摩擦力です。一定以上の力を加えて摩擦力に打ち勝つと物体は動き出しますが、動き出す際の摩擦力を最大静止摩擦力と呼びます。

最大静止摩擦力は、F’=μNのような公式で表すことができます。

F’が最大静止摩擦力、μが静止している物体と接している面との間の静止摩擦係数、Nは静止している物体が自重によって接している面を押す力と、反対向きに生じる垂直抗力です。静止摩擦係数が大きくなると、最大静止摩擦力も大きくなるため、物体のすべりにくさを表す値とも言えるでしょう。

最大静止摩擦力は、この垂直抗力に比例して変化するのみで、接触している面積や移動する速度には影響を受けないことが特徴です。

動摩擦力

物体が動いている時にも、物体と接している面との間に移動することを妨げる力が生じており、これを動摩擦力と呼びます。

動摩擦力を表す公式は、F’=μ’Nです。

F’が動摩擦力、μ’が動摩擦係数、Nが垂直抗力となります。垂直抗力は、静止している物体が自重により接している面を押す力と反対向きに生じる力です。動摩擦係数と静止摩擦係数が違うだけで、基本的には最大静止摩擦力と同じ構成の公式となっています。

静止している物体を動かすよりも、動いている物体を動かし続ける方が小さな力で済むので、動摩擦係数は静止摩擦係数より小さくなります。一度動き出した物体は、最大静止摩擦力以下の力で動かし続けることができるのです。

ころがり摩擦力

球や円状の形状をした物体がころがる時の摩擦力が、ころがり摩擦力です。物体が転がりながら接している面を移動するので、接触する面が常に異なるという特徴を持ちます。

ころがり摩擦力は、静止摩擦力や動摩擦力よりも小さなものとなるため、極めて小さな力で物体を動かすことができます。そのため、昔から物体を動かしにくい時は、ころがり摩擦力が適用されるような工夫が施されてきました。現在でもボールベアリングに代表される製品が数多く作られており、摩擦力を低減して滑らかな動作を実現するのに役立っています。

だだし、ころがり摩擦力については、まだ十分に理解されているとは言い難く、静止摩擦力や動摩擦力のような公式を用いて表すことができていません。

3つの摩擦力の関係

静止摩擦係数と動摩擦係数は、摩擦係数と接触面に及ぼす垂直抗力を使った公式で値が求められるだけではなく、摩擦試験機を用いて測定できます。その結果は、一般的には静止摩擦係数の方が動摩擦係数より大きくなります。

静止している物体を動かそうとする時は、静止摩擦力を上回る力が必要となり、物体が動き出すと動摩擦力に変化して、必要とされる力が低下するのです。最初は動かすのが大変でも、一度動き始めるとそれほど力が要らないと感じるのは、この理由によるものです。

さらに、摩擦力を低減する効果のあるころがり摩擦係数を加えて、3種類の摩擦係数を比較した場合は、静止摩擦係数>動摩擦係数>ころがり摩擦係数という関係が通常成り立ちます。この効果を利用するため、より滑らかな動きを実現するボールベアリングやローラーなどが多用されているのです。単に力に頼るだけではなく、便利なものを利用することが大切です。

実際には、摩擦係数は近似的なものであり、表面の性状/接触面の材質や状態などが影響してきますが、基本的には静止摩擦係数、動摩擦係数、ころがり摩擦係数の間には上記の関係が成り立つとされています。この関係を頭に入れておけば、摩擦力を有効に活用することが可能です。

摩擦係数の測定方法

摩擦係数は摩擦試験機によって測定できますが、基本的な考え方を応用して、角度のある斜面に物体を置いた状態から摩擦係数を測定することもできます。

静止摩擦係数の場合は、斜面の角度を少しずつ大きくして、動き出した瞬間の角度から垂直抗力を使って計算します。計算式を整理していくと、物体が動き出す時の角度だけでも、静止摩擦係数を求められることが分かります。

動摩擦係数も角度のある斜面を利用することになりますが、物体が動いている状態なので、加速度も測定する必要があるため、加速度センサーを用いる方法もあります。簡単に測定できる方法としては、動いている物体が停止する際は加速度が0であると考えて、その時の斜面の角度を使い動摩擦係数を測定できます。

材料別摩擦係数一覧

摩擦係数は、各材料固有の値となります。摩擦係数は摩擦試験機を使って測定できますが、『機械工学便覧』(日本機械学会)などの資料には主な材料の摩擦係数が掲載されていますので、それを参照すると便利です。

材料別の摩擦係数の一覧は、下表のようになります(『機械工学便覧』より)。一覧を見ると分かる通り、全ての材料の摩擦係数は、1以下の値です。

また、摩擦係数は、摩擦の種類、摩擦面材料の組合せ、摩擦面の粗さ、潤滑剤の有無などによって大きく異なるので注意を要します。

出典:機械工学便覧

出典:機械工学便覧

まとめ

以上のように、摩擦力を正確に理解するためには摩擦係数について十分に把握しておくことが大切です。各材料の摩擦係数について記載している資料を用いるのが便利ですが、摩擦力や摩擦係数の意味を理解しておかなくてはいけません。各値を公式に代入して計算するだけではなく、公式を適用する状況などについても、しっかりと把握しておくことが重要です。自動的に計算するプログラムなどを利用して機械的に作業していると、本来の意味と異なる計算をしても気付かないことがあるので、気を付けるようにしましょう。

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