低濃度の亜酸化窒素とメタンを1リアクターで分解する技術を開発――紫外線技術を応用 ウシオ

ウシオ電機は2022年9月26日、温室効果ガスの亜酸化窒素(N2O)ガスとメタン(CH4)ガスを、低濃度でも紫外線技術を用いて1リアクターで分解する技術を開発したと発表した。

N2OとCH4ガスは地球温暖化係数がそれぞれ二酸化炭素の300倍、25倍と非常に高い。下水処理や医療麻酔、廃棄物処理などの際に放出されているが、特にN2Oに関しては、低温触媒での分解やガスの捕集が難しい。また、それらの分解には、高温燃焼や高温触媒方式が採用されているが、大量の二酸化炭素の排出や、触媒時のアンモニアを使用による排水処理などの課題があった。

今回の開発では同社の紫外線技術を活用し、エキシマランプからN2O、CH4および空気を混合させたガスに、波長172nmの紫外線を約100秒照射。その結果50~100ppmの低濃度から5%(5万ppm)の高濃度までの広い範囲でN2OおよびCH4を分解できることを確認した。各分解率は、N2Oで約70%、CH4では100%だ。

同社の試算によると、下水処理場で同技術を活用した場合、汚水流入量1日3万m3 程度の中規模処理場で年間N2Oが2トン、CH4を5トン削減できるという。これは二酸化炭素換算で年間725トンの削減に相当するという。

今回開発した技術は、これまで対策が難しかった低濃度の温室効果ガスを1リアクアターで分解でき、しかも常温、常圧で触媒なども不要なことが特徴である。同社は今後実用化に向けた研究を進め、2025年に実証実験を開始、2030年の事業化を目指す。

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