九州大学は2023年2月20日、三菱ガス化学と共同で、水素と酸素から過酸化水素を安全かつ効率的に合成できる触媒を開発したと発表した。
過酸化水素は工業用酸化剤や半導体の洗浄など、さまざまな用途で利用されている。現在、化学工業ではアントラキノン法によって大規模で合成されている。しかしラボスケールでは、水素と酸素での爆発の危険性が極めて低い混合比率で、効率良くしかも簡易な装置で合成できる合成触媒が存在しなかった。
今回同大学では、水素の合成や分解を担う天然のヒドロゲナーゼ酵素の機能を参考にして、新たな触媒を開発。同触媒を用いることで、水素:酸素比95:5の爆発の危険性が極めて低い混合比率で、過酸化水素を水中で効率良く合成できるようになる。また、特別な設備が必要なく、フラスコのみで反応させることができる。触媒の性能を表す触媒回転数は910で、均一系触媒では世界最高となる。
今回の研究は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業CREST「電子貯蔵触媒技術による新プロセスの構築」の研究の一環として実施された。