ギ酸アルミニウム多孔質材料のCO2を効率良く除去するメカニズムを解明

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CREDIT:B. Hayes / NIST

アメリカ国立標準技術研究所(NIST)とシンガポール国立大学からなる研究チームが、ギ酸アルミニウム(ALF)による排気ガスから二酸化炭素(CO2)を除去するメカニズムを明らかにした。全世界のCO2排出量の30%を、石炭火力発電所の排気ガスが占めている。ALFは、現在稼働している火力発電所から大気に出る温室効果ガスを効率良く減らせる、安価な材料として期待されている。

同研究成果は2022年11月2日、「Science Advances」誌に掲載された。

ALFは、金属有機構造体(MOF)と呼ばれる物質群の1つである。MOFは、金属と有機配位子からなる結晶性の堅固な多孔質材料であり、高い表面積や調整可能な細孔径、表面機能性、多様な構造を有するため、次世代のCO2回収用固体吸着材料として期待されている。しかし、石炭火力発電所の排気ガスは、高温/多湿で腐食性が高いため、この条件を耐える従来のMOFでは、コストが高い、または、分離効率が低いという問題があった。

ALFは、広く入手可能な出発試薬である水酸化アルミニウムとギ酸から合成でき、原材料は、1kgあたり1ドルにも満たない。そして、ALFは、乾燥したCO2含有ガスから効率良くCO2を取り除け、同程度の効率を示す従来のMOFと比べて、100倍安価だ。排気ガスに含まれる二酸化硫黄(SO2)や一酸化窒素(NO)に対して安定だが、湿度に対する安定性は低い。しかし、CO2回収過程に乾燥工程を設けても、ALF材が十分に低コストであるため、実用化への見通しが立てられるという。

ALFは、ミクロなスケールで見ると、無数の小さな穴が開いた3次元の金網のかごのような構造をしている。同研究チームの中性子回折をはじめとしたさまざまな構造解析実験から、ALFの穴は、分子のわずかな大きさを区別し、CO2を捕捉しつつNOを排除し、効率良く分離していることが明らかになった。

NISTのHayden Evans教授は、「ALFで排気ガスから回収したCO2をどうするかというのも重要な問題です。現在、回収したCO2をALFの原材料であるギ酸生成に利用する研究を進めています。材料のサイクルによるさらなる低コスト化が期待できます」と説明した。1つの火力発電所には1万トンものCO2吸着剤が必要となる。研究チームは現在、ALFの大規模生産方法について検討している。

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