バブルプリント法を用いて自由度の高い高精細な微細パターンを作製――液体金属を用いた配線技術 横浜国立大学

横浜国立大学の向井理特任助教らの研究グループは2024年10月23日、バブルプリント法を用いることで、自由度の高い高精細な微細パターンを作製したと発表した。液体金属を用いた配線技術は、フレキシブルあるいはストレッチャブルデバイスへの応用が期待される。

IoTの進展に伴い、曲面に対応するフレキシブルデバイスが求められており、液体金属を用いた配線技術のニーズが高まっている。液体金属を用いた配線技術として、マイクロ流路に液体金属を流し込む方法や、ナノサイズの凹凸を持つスタンプを使うナノインプリント法などが知られているが、マイクロ流路法は配線サイズの制限、ナノインプリント法はコストの問題がある。

研究では、液体金属を用いた高い自由度を持つ微細配線パターン作製手法として、生体適合性の高い液体金属である、ガリウム-インジウム共晶合金(EGaIn)を分散したコロイド溶液中で、レーザー光を走査し、レーザー誘起バブルによって粒子を集積化させるバブルプリント法を用いた。

バブルプリント法は、基板あるいは液体にレーザー光を照射/吸収させて微小な泡を発生させ、その泡の周囲に生じる流れを利用して粒子を凝集させる。しかし、これまで実証されていたのは固体粒子のパターン形成のみで、液体コロイド粒子の配列は行われていなかった。

今回、バブルプリント法を用い、ガラス基板上に液体金属コロイド粒子(直径0.7μm)をパターニングして微細配線を作製した。室温で液体の性質を持つ材料を液体金属として使用しているため、金属としての高い導電性を維持しつつ、液体であるため屈曲で破断する恐れがない。

開発した手法は、従来技術のノズルを用いて塗布する方法やマイクロ流路に注入する方法などに比べ、より簡便で高い自由度を持つ微細配線の作製法として期待される。また、EGaInの課題である、酸化によって絶縁性の酸化被膜が形成されて導電性が低下する点は、銀への置換により高い導電性(約1.5×105S/m)を維持できた。

さらに、レーザー強度の調整により最小3.4μmの微細配線が形成できる。作製した配線は、抵抗値が少なくとも曲率0.02m-1までほとんど変化がなかった。

今後、フレキシブル基板を用いることで、さらなる柔軟性や伸縮性の向上が期待される。有機デバイスなどの電子素子と組み合わせることで、ウェアラブルセンサーや医療デバイスなど多様な応用が見込まれる。

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