アンモニアをカーボンフリーの燃料に――アンモニアから水素ガスを低コストで製造する手法を開発

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/Courtesy of Syzygy Plasmonics, Inc.

アメリカのライス大学の研究チームが、アンモニアを水素燃料に変換する安価な触媒を開発した。LEDの光エネルギーを活用したプラズモニック光触媒効果を利用することにより、安価な銅-鉄を用いた触媒でも、貴金属系触媒と同等の反応性と効率を示すことを確認した。輸送や取扱いが容易なため、カーボンフリーの燃料として注目される液体アンモニアを、環境に有害な窒素酸化物を排出する高温加熱なしにクリーンな水素ガスに転換することを目指している。研究成果が、2022年11月24日に『Science』誌にオンライン公開されている。

化学反応速度は温度とともに増大するため、化学産業ではこれまで、大きな反応容器において数百から1000度を超える温度に加熱する手法が用いられてきた。この加熱には化石燃料の燃焼が使われるため膨大な量の炭酸ガスを排出する上、高温における化学反応を促進するため、プラチナやパラジウム、ルテニウムなどの白金族を用いた高価な熱触媒が多用され、多額のコストを必要とする。

研究チームは長年、金属ナノ粒子表面の自由電子が特定波長の光と強く相互作用して集団的な振動を発生する「プラズモン共鳴現象」を、光触媒として活用する研究を進めてきた。2010年代に、プラズモンが“ホットキャリア”と呼ばれる高エネルギー電子を発生することを確認するとともに、ホットキャリアが触媒と結びついて化学反応のエネルギー障壁を低減させることを見出した。そして2022年9月にはプラズモニック光触媒効果により、硫化水素をワンステップで水素と硫黄に直接分離する手法を開発したことを発表している。

近年、カーボンフリーの液体アンモニアを燃料として活用する試みが成されている。液体アンモニアは輸送や取扱いが容易であり、1分子に3個の水素原子を含むことから大きな燃焼エネルギーを生み出すことができるが、一方で、燃焼により環境に有害な窒素酸化物を発生する問題も指摘されている。

研究チームは、安価な金属を用いたプラズモニック光触媒効果により、低コストでアンモニアを水素ガスに転換することにチャレンジした。その結果、波長470nmのLED光が照射された銅-鉄の触媒において、銅原子がホットキャリアを生成し、これが鉄原子に結合しているアンモニアの分解を促進して、従来の高価なルテニウムを用いた触媒と同等の変換効率で、水素ガスを生成することを見出した。

光照射により反応性を300倍も向上したことになり、従来のような高温加熱なしに光エネルギーだけでアンモニアを水素燃料に変換できる可能性が、初めて明らかになったと言える。現在、研究チームも設立に関与したスタートアップSyzygy Plasmonicsにより特許化され、スケールアップと他の化学反応への応用展開の検討が進められている。

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