光合成を約1割促進する、珪藻の被殻の役割を解明

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Image Credit: Santiago Bernal, McGill University

カナダのマギル大学の研究チームが、植物プランクトンである珪藻のガラスのような殻が薄暗い環境での光合成にどのように役立っているのかを明らかにした。

同研究成果は2022年11月22日、「Optical Materials Express」誌に掲載された。

珪藻は、ほとんどの水域に生息する単細胞生物だ。珪藻の光合成は、大気中の酸素の約25%と海洋中の炭素固定化の約40%を生み出している。珪藻がどのように光を取り込み、相互作用しているかを理解できれば、光エネルギーを効率よく利用したデバイスへの応用が期待できる。

珪藻は、外側の被殻という透明で硬い多孔質の殻で被われており、穴の大きさ、間隔、配置によって、光への応答が異なる。同研究で研究チームは、特定種の珪藻における被殻のさまざまな部分が、太陽光にどのように応答し、光合成とどのように関連しているのかを分析した。

研究チームは、走査型近接場光学顕微鏡と原子間力顕微鏡、走査型電子顕微鏡、暗視野顕微鏡の4種類の高解像度顕微鏡を用いて、被殻構造を画像化した。そして、被殻の各部分の光学応答を分析するために、画像を基にした3次元モデルを構築した。

さらに、3次元光学シミュレーションを用いて、太陽光に含まれるさまざまな波長の光が被殻構造の各部位とどのように相互作用するかを調べ、3つの主要な太陽光捕集メカニズム(捕捉、再分配、保持)を特定した。その結果、被殻構造が、さまざまな光学的特徴を組み合わせ、どのように連携して光合成を助けるかを示すことに成功した。

同研究により、被殻と相互作用する波長が光合成で吸収する波長と一致することが明らかになった。また、細胞全体で吸収できるように、被殻のさまざまな部分が光を再分配していることも分かった。さらに、高照度から低照度への移行期には、光合成を助けるために十分な時間、被殻内を光が循環し、光合成を約9.8%促進することを発見した。

被殻構造モデルから得られた光捕集を効率化させるメカニズムは、太陽電池や光通信技術、生体センシング技術の開発に役立つという。研究チームは現在、同モデルの改良に取り組んでおり、今回用いた顕微鏡画像に基づいた光学シミュレーションを他の種の珪藻にも適用することを計画している。

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