- 2023-1-24
- 技術ニュース, 機械系, 海外ニュース
- EUREKA 1, Impossible Metals, Oliver Gunasekara, クリティカルマテリアル, サプライチェーン, ドローン, レアメタル, 多金属団塊, 浚渫(しゅんせつ)技術, 自律型水中ロボット, 電気自動車
カナダのImpossible Metalsは、生態系に大きなダメージを与えることなく海底のレアメタルを採取する技術を開発している。同社は2022年12月6日、自律型水中ロボット「EUREKA 1」が、選別的に鉱物を採取する実験に成功したと発表した。
近年、電気自動車用バッテリーへの需要拡大などを背景に、陸上の鉱山では「クリティカルマテリアル」の枯渇が懸念されている。レアメタルを含むクリティカルマテリアルは経済への影響が大きいが、中国やロシアへの依存度が高く、サプライチェーンのリスクがある。海底での鉱物採取も注目されているが、海洋環境に悪影響を及ぼさない方式が求められる。
これらの課題克服を目指す水中ロボットEUREKA 1は、浮力エンジン、水中高速ロボットアーム、コンピュータビジョンAI駆動システムで構成される。ドローンのように水中をホバリングしながら、ターゲットとなる「多金属団塊」を検出し、同時に保護すべき海洋生物を回避することで、鉱物を選択的に採取する。
同社のCEO兼共同創設者のOliver Gunasekara氏は、今回の成功の意義について、海底の生物を保護し、堆積物の巻き上げによる水質悪化を回避する「新方式の浚渫(しゅんせつ)技術」を実証した旨を説明した。
同社は、2026年までに同技術の大規模な展開を目指す。持続可能なレアメタルの採掘方法と経済性の位置づけを変革し、世界のサプライチェーンに好影響を与えると見込んでいる。