Uberら、ニューヨークのドライバーに対し約24%賃上げへ

ニューヨーク市のタクシー・リムジン委員会(TLC)は2022年11月15日、投票により、ライドシェア会社のドライバーの最低賃金引上げを可決した。これにより同市におけるライドシェア最大手のUber TechnologiesとLyftは自社のドライバーに対し2022年末までに1マイル(約1.6km)あたり23.93%、1分あたり7.42%の賃上げを迫られる。

賃上げ後は、例えば7.5マイル(約12km)の距離を30分で移動する場合の賃金は27.15ドルになり、現在と比較して2.5ドルの増額になる。TLCは賃上げの理由としてインフレの進行や運用コストの増加を挙げている。

今回の投票では、通常のタクシーの料金についても23%の値上げが可決されている。初乗り料金は2.5ドルから3ドルに、通勤時間帯の割り増し料金が1ドルから2.5ドルに変更されるほか、深夜帯料金や空港への定額料金なども見直される。UberとLyftの両社は料金の改定について公表していないが、ドライバーの賃上げ分の負担を何らかの形で吸収する必要があるのは明らかだ。

ニューヨーク市のUberおよびLyftのドライバーに対してはすでに2022年2月に5.3%の賃上げがなされたが、続く3月に両社がガソリン価格の上昇を受けてアメリカやカナダで導入した燃油サーチャージ制度については同市は対象外となっていた。ニューヨークタクシー労働組合(NYTWA)の調査結果ではガソリンや食料品価格の高騰が続いた春の期間、ドライバーの 70% 以上が翌月の食料品を買うのに十分なお金がなかったとしている。また、NYTWAによると、2022年9月と12月を比較したインフレ率に基づき、2023年3月にさらなる賃上げの可能性もあるという。

UberとLyftの事業構造はドライバーをはじめ、インターネット上のプラットフォームを介して単発の仕事を請け負うギグワーカーたちに依存している。2022年10月にはバイデン政権がギグワーカーの雇用形態を見直す法改正案を示したことを受けて、人件費増加の懸念から両社の株価は一時急落した。アプリやAIなどのテクノロジーを強みに、ギグワーク市場の拡大にも大きく貢献してきた両社だが、アメリカでのこうした労働環境見直しの動きはひとつの逆風になっていると言えそうだ。

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