リチウムイオン電池より4倍高いエネルギー密度のリチウム空気電池を開発

Image by Argonne National Laboratory

米イリノイ工科大学とアルゴンヌ国立研究所の研究チームが、リチウムイオン電池に比べ、4倍高いエネルギー密度のリチウム空気電池を開発した。

同研究成果は2023年2月2日、『Science』誌に掲載された。

リチウム空気電池は、金属リチウムを負極活物質とし、リチウムが移動する電解質を介し、空気中の酸素を正極活物質とした、充放電可能な二次電池だ。酸化リチウム(Li2O)生成に基づくエネルギー密度は、理論上ガソリンに匹敵するため、電気自動車の航続距離の大幅な拡大が期待できる。

しかし、従来のリチウム空気電池の設計では、電解質に液体を用いており、放電時に正極で超酸化リチウム(LiO2)、または、過酸化リチウム(Li2O2)が生成される。1酸素分子当たり1電子、または2電子反応となり、4電子反応であるLi2O生成と比較すると、エネルギー密度は、反応電子数に応じて小さくなる。

研究チームが設計したリチウム空気電池では、電解質にリチウム化合物ナノ粒子をポリマーに埋め込んだ複合材料の固体電解質を用いており、室温での4電子反応を達成した。さらに、試験セルで1000サイクルの充放電に対する安定性を実証し、従来設計の寿命が短いという欠点がないことも示した。

研究チームは、放電時の正極表面にある生成物を透過電子顕微鏡(TEM)で調べ、4電子反応が実際に起きているかを確認した。さらに、TEM画像から4電子反応メカニズムについての知見が得られた。

アルゴンヌ国立研究所のLarry Curtiss特別研究員は、「リチウム空気電池の新しい設計では、1kg当たり1200Whのエネルギー密度に達する見込みです」と説明した。つまり、エネルギー密度が現在のリチウムイオン電池の4倍になると見積もられる。

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