食料廃棄部位を原料にした、リサイクル可能な有機ケイ素高分子を開発群馬大学

群馬大学は2023年4月10日、食料の廃棄部位から合成されるバイオマス由来のビフラン骨格を利用した、ケミカルリサイクル可能な有機ケイ素高分子を開発したと発表した。

ベンゼン環は、化石資源由来の機能性高分子材料の骨格として広く利用されているが、有機ケイ素化合物のケミカルリサイクルが困難だった。今回の研究では、トウモロコシの芯などから生産される化合物「フルフラール」を出発原料とするビフラン骨格含有ケイ素化合物を合成。これを、二重結合を2つ持つジエンと重合反応させることで有機ケイ素高分子を開発した。

ビフラン骨格を導入した有機ケイ素高分子は、従来のベンゼン環では無理だった紫外線吸収や蛍光発光の特性を持つ。また、ビフラン骨格とケイ素間の結合を選択的に切断するプロト脱シリル化反応をケミカルリサイクルに利用することで、原料の回収も可能にした。同大学によると、プロト脱シリル化反応をケミカルリサイクルに利用するのは世界初となる。

今回開発したバイオマス材料は、紫外線吸収特性を活用したリサイクル可能なコーティング剤や電子材料、セラミック前駆体など、さまざまな分野への応用が可能だ。

なお今回の研究は、科学技術振興機構（JST）未来社会創造事業探索加速型「地球規模課題である低炭素社会の実現」領域における研究開発課題「高分子材料におけるベンゼン環からビフラン骨格への転換」の支援を受けて実施された。

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