- 2022-12-15
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- ACS Energy Letters, アメリカ化学会, ノートルダム大学, ポリジメチルシロキサンフィルム, 二酸化ケイ素, 慶熙大学, 機械学習, 窒化ケイ素, 窓コーティング材, 酸化アルミニウム, 量子コンピューティング
米ノートルダム大学と韓国の慶熙大学の共同研究チームが、電力を使わずに室温を下げる、透明な窓コーティング材を開発した。同研究成果は2022年11月2日、アメリカ化学会の「ACS Energy Letters」誌に掲載された。
全世界のエネルギー消費量の約15%は、冷房使用によるものであり、冷却効果の約60%は窓から失われている。窓の冷却効果を高めれば、エネルギー消費削減に大きな効果が期待できるが、同時に良好な視界の確保が課題となる。
今回、研究チームは、二酸化ケイ素や窒化ケイ素、酸化アルミニウムなどの入手しやすい一般材料を使用し、機械学習と量子コンピューティングにより、素材の重ねる順番や組み合わせを最適化。さらに、コーティング材の最表面には、ポリジメチルシロキサンフィルムを追加した。温度を高める近赤外線や紫外線を遮断する一方で、放射冷却効果のある中/遠赤外線の放射率を高めつつ、可視光を透過するコーティング材を開発した。
同コーティング材は、暑い都市での冷房に必要なエネルギー消費量を最大31%削減できる。CO2排出量や電気料金削減への貢献が期待でき、建物だけでなく自動車などの窓にも使用可能だ。