半導体型カーボンナノチューブを使った、高感度非冷却型赤外線イメージセンサを開発 NEC

NECは2023年4月10日、高純度半導体型のカーボンナノチューブ(CNT)を赤外線検出部に採用した、従来の3倍以上の高い感度を持つ非冷却型赤外線イメージセンサを開発したと発表した。同社によると世界初となる。

赤外線イメージセンサは、自動車や航空機などの運転/航行支援、防犯など、さまざまな分野で活用されている。赤外線イメージセンサには冷却型と非冷却型があるが、非冷却型は冷却機が不要なため小型で安価、かつ消費電力が低いという特性がある。しかしその反面、感度や解像度が劣るという課題があった。

同社は、2018年に合成直後の金属型と半導体型が混在する単層CNTから、高純度の半導体型のみを抽出する技術を開発。この技術で抽出した半導体型CNTによる薄膜が、常温付近において抵抗温度係数(TCR)が大きくなることを発見した。

今回の開発には、上記技術による高いTCRを持つ半導体型CNTを適用。従来の酸化バナジウムやアモルファスシリコンを使った非冷却型赤外線イメージセンサと比較して、3倍以上の高感度化に成功した。

また、従来の非冷却型赤外線イメージセンサに採用している熱分離構造と、この構造を実現するためのMEMS素子化技術、およびCNTの印刷製造技術を融合することで、新たなデバイス構造を実現した(下図左)。今回、それらをアレイ化した640×480画素の高精細な非冷却型赤外線イメージセンサの動作に成功した(下図右)。同社では、2025年に本イメージセンサの実用化を目指す。

<左>デバイス構造(断面:単素子)
<右>CNT赤外線アレイ素子(電子顕微鏡写真)

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NEC、カーボンナノチューブを活用した高感度非冷却型赤外線イメージセンサを世界で初めて開発 (2023年4月10日): プレスリリース | NEC

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