- 2023-8-2
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- Princeton Satellite Systems(PSS), Princeton磁場反転配位反応炉(PFRC-2), Pulsar Fusion, イオンスラスター, 中性子, 宇宙推進システム, 星間宇宙旅行, 核融合, 核融合プラズマ, 核融合推進宇宙船開発, 機械学習, 直接核融合ドライブ(Direct Fusion Drive:DFD)システム
核融合によるクリーンな宇宙推進システムの開発を目指すイギリスのPulsar Fusionは2023年6月6日、星間宇宙旅行を実現できる核融合推進宇宙船開発を加速することを狙い、Princeton磁場反転配位反応炉(PFRC-2)から得られるデータを機械学習させるため、アメリカのPrinceton Satellite Systems(PSS)とパートナーシップを締結したと発表した。
この研究により、核融合炉が放射線となる中性子を生成しないクリーンな核融合推進システムとして構成された場合の、電磁加熱および閉じ込め下でのプラズマの挙動をより深く理解できるようになる。この研究は、核融合プラズマが、秒速数百キロメートルの速度で粒子を放出する際にどのように挙動するのか、つまり核融合プラズマの推進性能をシミュレーションで評価するものだ。
Pulser Fusionが開発を進める、直接核融合ドライブ(Direct Fusion Drive:DFD)システムは、核融合炉がエネルギーを起こして荷電粒子のプラズマを生成し、このエネルギー粒子が回転磁場を使用して推力に変換されるため、中間の発電プロセスを必要とせず、直接推力を得ることができる。DFD システムは、現在軌道上で使用されているイオンスラスターの1000倍の出力があり、DFDシステムを使えば、土星の衛星の1つであるタイタンには数十年かかるところを2年で移動できるようになるという。中性子を出さないためクリーンで、本体も比較的コンパクトであることから宇宙旅行に最適だとしている。