- 2023-8-22
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- PLA, アピ, グリセリン, ゼラチン, ソフトカプセル, ポリ乳酸, 大阪大学, 海洋生分解性バイオマスプラスチック(MBBP), 生分解性プラスチック, 研究, 被膜廃材
大阪大学は2023年8月18日、ソフトカプセル被膜廃材を活用した生分解性プラスチックを、アピと共同で開発したと発表した。
ソフトカプセル被膜廃材はカプセル製造時に発生し、破棄物が20~30%を占める。ソフトカプセル業界で年間数百トン規模の廃材が出ると推測できる。しかし、この廃材はゼラチン以外の不純物の含有量が少ないために再利用しやすい物資で、プラスチックの成分としての利用が可能だ。
同大学では、従来からデンプンに注目して、熱可塑デンプンを利用した海洋生分解性バイオマスプラスチック(MBBP)の開発に取り組んできた。独自技術によって熱可塑性デンプンを生分解性プラスチックにブレンドすることで生分解性を向上。プラスチックによる海洋汚染を低減するための技術を構築している。
今回、上記のデンプンの代わりにソフトカプセル被膜廃材を利用した。同被膜にはゼラチンを可塑化するためのグリセリンが含まれる。今回これに着目し、廃材に加熱処理を施すことで熱可塑化した。
また、熱可塑ゼラチンとポリ乳酸(PLA)などの生分解性プラスチックとブレンドすることで、新たな高性能生分解性プラスチックを開発。生分解性プラスチックとしての性能は維持したまま、高い靭性を持ったフィルムを得た。
ゼラチンを含んだプラスチックフィルム上にはバイオフィルムが形成され、さらなる生分解性の向上が期待できるという。
コスト効率などの面から廃棄されているものの中にも、簡便な手法で再利用できるものが潜在的に多くある。今回の研究成果は、廃棄物の積極活用に対する社会的要請に応える第一歩になると考えているという。
同大学では今後、産学連携による成形技術の開発や試作品製造などに展開していく予定だ。