- 2023-10-5
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- 2次元ナノ材料, MXene, Nanoscale, Seung-Cheol Lee, インド・韓国科学技術センター(IKST), 学術, 物理定数, 磁気輸送特性, 表面分子分布, 量産化, 韓国科学技術研究所, 韓国科学技術院(KAIST)
韓国科学技術院(KAIST)のインド・韓国科学技術センター(IKST)の研究チームが、磁気輸送特性を利用して2次元ナノ材料「MXene」の表面分子分布を予測する手法を開発した。同手法により、簡単な測定で製造工程の品質管理が可能となるため、量産化への道が開けると期待される。
同研究成果は2023年4月14日、「Nanoscale」誌に掲載された。
2011年に開発されたMXeneは、金属層と炭素層が交互に積層した2次元ナノ材料で、高い導電性を持ち、さまざまな金属化合物と組み合わせることができるため、半導体や電子デバイス、センサーなどに産業利用できる材料だ。MXeneを適切に利用するためには、表面を覆っている分子の種類と量を知ることが重要である。しかし、厚さが1nmしかないため、高性能の電子顕微鏡でも表面分子を分析するのに数日かかり、これまで量産は不可能だった。
研究チームは、表面の分子によって変化する電気伝導性や磁気特性に着目し、2次元物性予測プログラムを開発した。同手法は、MXeneの磁気輸送特性を計算し、室温/大気圧下でMXene表面の分子の種類と量を、簡便に解析できる。
同手法によりMXeneの表面を解析したところ、磁気輸送に影響を与えるホール散乱係数が、表面分子の種類によって大きく変化することが分かった。ホール散乱係数は、半導体材料の電荷を運ぶ性質を表す物理定数だ。研究チームは、表面分子がフッ素の場合、ホール散乱係数が2.49と最も高く、酸素で0.5、水酸化物で1と突き止め、表面分子の分布解析に成功した。
また、分子種によるホール散乱係数の違いはMXeneの性質に大きく反映する。そのため、散乱係数1未満のMXeneは高性能トランジスタや高周波発生素子、高効率センサー、受光素子などに、1以上のMXeneは熱電材料や磁気センサーなどに応用可能だという。
IKSTのSeung-Cheol Lee所長は、「MXeneの製造法や特性に焦点を当てた従来の研究とは異なり、本研究は、製造したMXeneを容易に分類する、新しい表面分子分析法を提供するという点で重要です。本成果を実験的研究と組み合わせることで、製造工程が制御可能となり、均一な品質のMXeneが大量生産可能となると期待しています」と説明した。