インターンシップとは?参加した方がいいのか、いつから始まるのか、就活本選考への影響も含めて解説

「インターンシップ」とは、学生が在学中に企業や組織で働いて就業経験を積むこと。就職活動が本格化する前年、多くの企業が大学3年生や大学院修士1年生などを対象として、夏休みや冬休みにインターンシップを開催し、参加希望の学生を募っています。

以前から「インターンシップでの評価は本選考にも影響する」という噂が流れていましたが、2025年卒の就職活動からその噂が公に認められようになりました。一定の基準を満たせばインターンシップで得た学生の情報を、企業が採用選考に利用できるのです。

就職活動において、これまで以上にインターンシップの重要性が増すことになりそうですが、そもそもインターンシップにはどのような種類があり、アルバイトなどとはどんな違いがあるのでしょうか。また、参加することのメリットや、どうやって探したらいいかといった情報をこの記事で紹介します。

インターンシップの種類

2022年に文部科学省、厚生労働省、経済産業省によって「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方 」が改正され、いわゆるインターンシップなどの「学生のキャリア形成支援に係る産学協働の取組み」を4つの類型に整理することが確認されました。まずはその4類型についてご紹介しましょう。

タイプ1:オープン・カンパニー

業界や職業、それぞれの企業・組織に関する情報の提供を目的として開かれる説明会やイベントを想定しています。企業や業界の説明会、大学OB/OGによる講演会・座談会などが含まれます。これまで「1dayインターンシップ」と称して開催されていたものも、ほとんどがこのタイプに分類されます。

タイプ2:キャリア教育

大学が主導する授業や産学協働プログラム、企業がCSRを目的として実施するもので、働くことへの理解を深めるために開かれます。具体的な実施内容としては、グループワーク、就業体験(任意)、キャリアやビジネスマナーに関するセミナーなどが挙げられます。

タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ

学生が職場に入って就業を体験し、企業・組織で働く社員から指導・フィードバックを受けることになります。一般的な「インターンシップ」のイメージに一番近いのがこのタイプ3でしょう。

学生の参加期間は、汎用的能力活用型なら5日間以上、専門活用型なら2週間以上の期間が必要で、そのうちの半分以上の日数を職場での就業体験に充てる必要があります。業界や企業の説明会から始まり、就業体験を積み、グループワークや発表会で終わるといった流れが一般的になるかもしれません。

タイプ4:高度専門型インターンシップ(試行)

大学院の修士・博士課程の学生向けのものです。大学院博士課程に在学の理系学生を対象とした「ジョブ型研究インターンシップ」では、2カ月以上にわたって企業の中で研究などの業務に取り組み、企業から評価書を受け取ります。教育課程の単位科目と見なされますので、単位を取得することもできますし、受け入れ先の企業から給与も支払われます。

前述した文部科学省、厚生労働省、経済産業省による改正で、ここまでに挙げた4つのタイプのうち、タイプ3とタイプ4のみを「インターンシップ」と呼ぶことになりました。タイプ3とタイプ4なら、学生を受け入れる企業・組織は、取得した学生情報を採用活動などに使用できるようになります。

オープン・カンパニー、キャリア教育の事例


ここでは一般的なインターンシップのイメージに近いタイプ3と4以外の2つについて、プロフェッショナルなエンジニアによるエンジニアリングソリューションサービスを提供しているメイテックグループの事例を紹介します。

メイテックグループは日本の数多くの製造業と取引があり、12,000名を超えるエンジニア社員が様々な業界で設計・開発業務に携わっています。そのエンジニア社員のキャリアアップ支援を事業活動として行っている強みを生かし、理系学生に向けて「キャリア形成」、「設計開発の職種研究」、「製品企画の職種研究」をテーマにした3種類の「1day仕事体験」を開催しています。(※25年卒向けの実施内容です)

メイテックグループでは、1day仕事体験の目的を「エンジニアの働き方を知ってもらう」、「ものづくりの面白さや魅力に気付いてもらう」、「自社で働いた場合にどんなキャリアが描けるかを知ってもらう」こととして、学生の志向や就職活動の進行状況に応じて参加コースを選べるようにし、全国どこからでも参加できるよう対面とWEB形式を用意しています。2022年は、のべ3,700名以上の理系学生が参加した人気コンテンツです。

■「プロエンジニア仕事体験型コース」
機械、電気、IT系のエンジニアが、どのように設計開発業務を行っているのかを疑似体験できるコース。VRゴーグル、自動運転、介護ロボットの開発をテーマとして、5~6人のグループでワークやディスカッションを行い、設計開発の中にも様々な仕事があることや、チームで協力することの大切さを学ぶことができる。

■「キャリアステップ体感型コース」
メイテックグループで描けるキャリアをエンジニアが独自開発したカードゲームで体感できるコース。自分が望むキャリアプランに対し、景気やライフイベントなどを加味してエンジニア人生を疑似体験し、自分の選択肢をどのように広げて成長できるかを学ぶことができる。

■「未来のモビリティ企画体験ワーク」
製品企画の職種体験ができるコース。参加者には10年後にリリースされるという想定で、新しいモビリティ製品を自由な発想で考えてもらい、その後、製品企画における重要な要素を説明し、企画した製品の実現可能性を検証する。

このようにタイプ1,2には、業界や職業、それぞれの企業・組織に関する情報の提供や、働くことへの理解を深める取り組みが分類されるようになりました。こうした取り組みは企業の公式HPや就活サイトで募集をしていることが多いので、興味のあるものがあれば参加してみることをお勧めします。

>>メイテックグループの「1day仕事体験」に興味のある人はこちら

インターンシップとアルバイトの違いは?


ここからは、インターンシップについて掘り下げていきましょう。
企業・組織に入って働いて、仕事について理解を深める――。ここだけ切り取ると、インターンシップとアルバイトは、同じもののように感じる人もいるかもしれません。

しかし、アルバイトで経験できる仕事の内容は、どんなものになるのでしょうか。コンビニやカフェなどで働く接客・レジ担当、塾講師や家庭教師、引っ越しスタッフ、食品や工業製品の製造ライン工、コールセンターのオペレーターなどが代表的なアルバイトの仕事になると思います。
こうしたアルバイトで経験できる仕事は、種類や職務が限られています。企業・組織の中で働く営業職や企画職、技術開発職などの仕事をアルバイトで経験することは難しいでしょう。

「長期インターンシップ」を探すという選択肢も

アメリカなどでは大学在学中、もしくは大学を卒業したら、企業・組織でインターンシップとして長期間働き、そこで得た勤務実績をアピールして就職先を探すのが、就職活動の王道です。

一部のベンチャー企業や外資系企業などに限られますが、日本でもアメリカなどのように、学生を「長期インターンシップ」として受け入れているところがあります。給与を受け取りながら、普通の社員と同じように営業やシステム開発などの業務に取り組むのです。実際に職場で長期間働くことで、その業界で、あるいはその職種で働くイメージを、より具体的に持てるようになるでしょう。

インターンシップは就活に影響する?

冒頭で触れたように、「インターンシップでの評価は本選考にも影響する」と長らく噂されていましたが、前述の「タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ」「タイプ4:高度専門型インターンシップ」については正式に、インターンシップの情報を採用選考に利用できるようになりました。インターンシップで受けた評価が、多かれ少なかれ就職活動の本選考に影響することは間違いないでしょう。

ただ、インターンシップでの評価をどの程度重視するかは、採用する企業・組織によって異なります。また、「インターンシップに参加できたから本選考でも加点される」とは限りません。人事担当者や一緒に働いた現役社員からの評価次第で、加点されることもあれば減点されることもあるでしょう。

あるいは逆に、インターンシップ選考の面接で不合格になったとしても、自分なりに足りなかったところを熟考し、本選考までに成長・克服することで、第一志望の企業・組織から内定を勝ち取れた先輩もいます。

すでに就職したい業界・職種が定まっているのなら、インターンシップに参加できるチャンスを逃す手はありません。仮に上手くいかなくても、失敗した経験を糧に成長できるように心掛けましょう。

インターンシップに参加するメリット


インターンシップを経験することで、次に紹介するような点で成長した先輩たちがたくさんいます。就職活動の本選考を迎える前に、1度はインターンシップに参加できるよう、興味を持ったインターンシップにはできるだけ申し込んでおいた方がいいでしょう。

業界・職種のことをより深く理解できる

「百聞は一見にしかず」と言うように、インターンシップに参加して実際に企業・組織の中で働くことができれば、その業界や職種のことをより深く理解できます。業務を経験して自分がどのように感じたか、自分の能力・資質をどう生かすことができそうか、職場で働く先輩社員は仕事のどんなところにやりがいを感じていたのか。そうした情報を踏まえて、自身の就職したい業界・職種について見つめ直すことで、志望度をより高められるでしょう。あるいは自分の認識していなかった可能性に気が付いて、別の業界・職種を志すようになることもあるかもしれません。

ビジネスマナーを身に付けられる

就職活動を始めると、社会人と接する機会が増えていきます。これまで接してきた同年代の先輩や友人にはそれほど気を遣う必要はなかったと思いますが、年上の社会人と会うときには適切な言葉遣いや立ち居振る舞いが求められるようになります。

マニュアル本を読んだりハウツー動画を視聴したりすることで、ある程度はビジネスマナーを習得することができるかもしれません。しかし、学んだ知識を習慣として定着させるには実践が必要ですし、時間もかかります。就職活動の本選考に向けてビジネスマナーを身に付けるには、インターンシップを経験することが良い機会になるでしょう。

自分の強みや課題を知ることができる

人気のあるインターンシップに応募すると、書類や面接による選考があり、合格・不合格を告げられることもあるでしょう。就職活動の本選考が遠からず訪れることを考えると、インターンシップの選考は良いリハーサルになります。

一緒に面接を受けた学生の中には、手本にしたくなるような質疑応答をする人がいるかもしれませんし、面接官や選考途中に出会った人事担当者から、有益なフィードバックを得られるかもしれません。そのような経験から、インターンシップ選考を通じて自分の強み・課題を認識し、本選考に向けて自らを磨き上げていきましょう。

インターンシップに参加したい。どう探せばいいのか?


これまでに紹介したインターンシップの内容やメリットなどを確認いただいて、インターンシップに参加してみたいと思った人に向けて、インターンシップの探し方を紹介していきます。

リクナビやマイナビなど就活サイトで検索する

「リクナビ」や「マイナビ」などの就職情報サイトを使えば、インターンシップを募集中の企業を検索することができます。あなたが興味を持っている業界・職種や、参加しやすい期間、経験してみたいプログラム内容などで検索して、条件を満たすインターンシップを探してみましょう。

ゼミやサークルの先輩に聞く

あなたのゼミやサークルの先輩に、就職活動が本格化する前にどんなインターンシップに参加したか、聞いてみるのもいいでしょう。同じゼミやサークルの先輩が参加したインターンシップなら、あなたの興味・関心に近いものが見つかる可能性が高いです。あまり告知を広げずに募集している魅力的なインターンシップの情報も、先輩経由なら教えてもらえるかもしれません。

興味を持っている企業のWebサイトを直接確認する

就職を希望する業界・職種がある程度定まっていて、入社を志望する企業・組織が絞り込めているのなら、その企業・組織のWebサイトを直接確認するのもいいでしょう。どの企業・組織も、前年と同じような時期にインターンシップを開催することが多いです。前年のインターンシップはいつごろから募集を始めたのか、事前にWeb検索して調べておくといいでしょう。

他にも、大学のキャリアセンターで募集情報を調べる、募集中のインターンシップを紹介してくれる人材サービス会社などに相談するなど、インターンシップを探す方法はいくつかあります。あなたの始めやすいやり方で探してみてください。

まとめ

直前になって大学受験勉強を始めた学生と、高校1年生から計画的に勉強を進めた学生、どちらが志望大学に合格できる確率が高いでしょうか。前者では「志望大学に合格できなくなる」とまでは言い切れませんが、合格できる確率が高いのは圧倒的に後者だと思います。

就職活動も同じことです。本選考の直前になって焦るより、早めに動き出した方が有利になるのは間違いありません。インターンシップを通じて業界・職種への理解を深め、自分の強み・課題を明確に把握していく。そうすることで、本選考までにどんな取り組みをしていけばいいか、面接などで自分をどうアピールすればいいか、気付きを得られることでしょう。

まだ時間に余裕があるのなら1回でもいいのでインターンシップに参加してみてください。これから社会人になることをより明確に意識して、就職活動の本選考へ向けて準備を進めていきましょう。


ライタープロフィール
中嶋 嘉祐(なかしま よしひろ)

理系学生向け就職情報誌『理系ナビ』初代編集長。理系大学生・大学院生の長期インターンシップ派遣事業や、理系学生向けインターンシップ情報誌の制作・発行などに携わる。現在はオウンドメディアの運用支援業務を中心に活動する。


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