ルリツグミの羽の青い構造色を再現する方法を開発

Graphic: Fernández-​Rico, C., et al. Nature Materials, 2023

チューリッヒ工科大学の研究チームが、北アメリカ東部原産の鳥であるルリツグミの青い羽の素材を実験室で再現した。同素材の微細構造は二次電池やフィルターにも有用だという。

同研究成果は2023年10月26日、「Nature Materials」誌に掲載された。

ルリツグミの羽の独特な青色は、色素によるものではなく、特殊な構造色によるものだ。顕微鏡で見ると、羽毛には直径わずか数百nmの溝のネットワーク構造が観察できる。

研究チームは、ルリツグミの羽の構造を人工的に再現することに成功した。伸縮/変形できる透明なシリコーンゴムを油性溶液に入れて60℃のオーブンの中で数日間膨潤させた。室温まで冷却してからゴムを油性溶液から取り出して顕微鏡で観察したところ、ルリツグミの羽の構造と同様のネットワーク構造を確認した。

ネットワーク構造の形成理由は、サラダドレッシングを激しく振ると、油と酢が複雑に混ざった状態になるのと同様な相分離現象によるものだという。シリコーンゴムを油性の溶液に入れて加熱したことで、相分離によってゴムと油性溶液が混ざり合った状態となり、冷却されてそのままネットワーク構造が形成したのだ。

同手法は拡張可能であり、原理的にはどんな大きさのゴム状のプラスチックでも使用可能だという。研究チームは、ネットワーク構造の青い構造色よりもむしろ、二次電池や水フィルターへの応用の可能性に着目している。現在、電池に用いられている液体電解質を、ネットワーク構造を持つ固体電解質に置き換えれば、電極間の物理接触を回避しつつ、電池内での良好なイオン輸送を維持でき、安全で性能の高い二次電池が期待できる。

チューリッヒ工科大学のCarla Fernández Rico博士は、「ゴム材料は安価で入手しやすいですが、油性材料はかなり高価です。実用化にはより安価な材料を開発する必要があります」と説明した。また、研究チームは現在、セルロースやキチンのような環境に優しい天然ポリマーを用いた方法も検討している。

関連情報

Replicating the structure of bird feathers | ETH Zurich

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