- 2024-1-18
- 化学・素材系, 技術ニュース, 海外ニュース
- Cell Reports Physical Science, Ulf-Peter Apfel, カーボンブラック, ガス拡散電極(GDE), フラウンホーファー研究機構, ルール大学ボーフム校, 一酸化炭素, 二酸化炭素, 均一系電極触媒, 学術, 工業原料, 温室効果ガス, 電解還元反応
ドイツのルール大学ボーフム校とフラウンホーファー研究機構の環境・安全・エネルギー技術研究所を中心とする研究チームが、二酸化炭素(CO2)を工業原料に変換する、均一系電極触媒を開発した。
同研究成果は2023年12月20日、「Cell Reports Physical Science」誌に掲載された。
現在、世界中の研究チームが、温室効果ガスであるCO2を工業原料に変換する技術を模索している。その中で、化学工業の一般的な出発原料である一酸化炭素(CO)への電解還元は、有望な技術として注目されている。
同技術の基本構成は、反応ガスであるCO2を導入して拡散させ、触媒によってCOに電解還元反応させるガス拡散電極(GDE)と、反応によって生成した水酸化物イオンを電解酸化して酸素(O2)とする対極からなる。
同システムでは、GDEの構造が、高性能化や大型化あるいは繰り返し耐久性の向上のために最も重要だ。従来の研究では、カーボンブラックなどの多孔性カーボンに触媒を担持した、不均一系触媒の構造を有したGDEが用いられていた。
研究チームは、反応に不可欠な金属錯体触媒を化学結合させるのではなく、カーボンブラックと一緒に混合し、GDEインク中に溶解した均一系触媒からなるGDEを開発した。均一系触媒は、不均一系触媒と異なり、触媒分子が反応物と共にGDE中に存在するため、活性が高く、さらに電極触媒の化学構造を自由に変更が可能で、反応選択性が向上する。
さらに、単純な同GDE製作法は、システムを大型化する上で再現性を保証し、電極触媒の選別から工業的に応用可能なシステムへ迅速に移行でき、その過程で、触媒の化学構造や電極インク組成、電解システム材料の最適化が可能だという。
同研究では、触媒だけでなく運転条件も最適化することで、1cm3当たり300mAを超える高電流密度で、100時間以上にわたって非常に安定なCO生成反応を達成した。
同研究成果は、均一系触媒が一般的に電解槽に使用できることを意味する。ルール大学ボーフム校のUlf-Peter Apfel教授は、「私たちの発見は、電気化学プロセスの応用において、高性能で容易に変えられる均一系電極触媒の試験と統合の可能性を開きます」と説明した。