- 2024-1-24
- ニュース, 化学・素材系, 技術ニュース
- コンクリーション, コンクリーション化剤, シーリング, シーリング効果, ラマン分析, 中新世師崎層群, 化石, 名古屋大学, 地層, 堀場テクノサービス, 有機物, 深田地質研究所, 球状コンクリーション, 研究, 鉱物, 関西学院大学
名古屋大学は2024年1月23日、同大学と関西学院大学、堀場テクノサービス、深田地質研究所の共同研究グループが、ラマン分析により約1000万年前の有機物を巨大球状コンクリーションから確認したと発表した。研究結果はScientific Reports誌に2024年1月7日にオンライン掲載されている。
球状コンクリーションとは、地層中に時折見られる硬い球状の塊を指す。炭酸カルシウムなどの鉱物が砕屑性の砂や泥の粒子の間に充填されたもので、保存状態が良好な化石を含んでいる。
同研究グループは今回、愛知県知多半島に分布する中新世師崎層群の地層に含まれる直径1.7mの巨大球状コンクリーションを用いた。
ラマンイメージングと多変量スペクトル分解法(MCR)、古典的最小二乗法(CLS)を組み合わせることで、構成する物質を同定。また、起源となった生物の有機物が残存していることを見出した。
同発表によると、このような発見は世界初だという。また、コンクリーションは有機物が分解するより速く形成したと考えられ、巨大コンクリーションが生物有機物起源であることの証拠になるという。
さらに、コンクリーション化に伴う炭酸塩のシーリング効果により、形成後に地下2kmの埋没などによる熱や圧力の影響を受けても内部の物質変化が抑えられ、当時の状態を1000万年以上保存できるということも判明した。
このことは、コンクリーション化によるシーリング効果(形成後の風化や変質などの現象から隔離させる効果)が高いことを示している。現在開発が進んでいるコンクリーション化剤の長期シーリング効果を裏付けるものとなる。
今回の研究手法を用いることで、コンクリーションの形成メカニズムの詳細な解明が可能。岩石などさまざまな地球環境物質の成因解析にも応用できる。
加えて、コンクリーションの形成メカニズムをシーリング剤などに応用する技術開発や実用化にも寄与する。