- 2024-2-1
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- 20フィートコンテナ型エネルギー貯蔵ユニット・モジュール, Li Xianfeng, Research News, イオン, バナジウムフロー電池, バナジウムフロー電池スタック, レドックスフロー電池, レドックス活性, 中国科学院, 多孔質複合膜, 大連化学物理研究所(DICP), 学術, 高導電性バイポーラプレート
中国科学院の大連化学物理研究所(DICP)の研究チームが2024年1月15日、従来の2倍以上の出力密度を持つ、バナジウムフロー電池スタックを開発したと発表した。
フロー電池は、レドックスフロー電池とも呼ばれ、別々のタンクにある2種類のレドックス活性なイオンを含む電解液を、循環ポンプで正極室と負極室にそれぞれ流入させ、多孔質膜を介した酸化還元反応により充放電する二次電池である。バナジウムイオンを用いたバナジウムフロー電池は、長い寿命と高い安全性、拡張性を持ち、再生可能エネルギーの貯蔵用として期待されている技術だ。しかし、高い初期コストが課題であり、普及の障壁となっている。
バナジウムフロー電池の主要部品であるスタックは、化学エネルギーを電気エネルギーに変換する一連のセルで構成されている。スタックのコストは、出力密度(スタックの体積に対する出力の割合)によって大きく左右される。
研究チームは、溶接可能な多孔質複合膜や高導電性バイポーラプレートなどの独自に開発した材料を用いて、短い流路と超薄型バッテリー構造、低い流れ抵抗、高い分布一様性流路を持つスタックを開発した。
その結果、従来の2倍以上の出力密度と40%のコスト削減を実現した。同スタックは、さまざまな出力条件下で80%を超える高いエネルギー効率を示し、さらに1200サイクル以後もエネルギー効率の減衰はわずか1.7%であった。
研究チームは、同スタックによって、20フィートコンテナ型エネルギー貯蔵ユニット・モジュールを、サイズや設備コストを大幅に増加させることなく、出力250kWから500kWに倍増できるとうたう。
研究チームリーダーであるLi Xianfeng教授は、「70kWレベルの本スタックは、バナジウムフロー電池の商業化を促進できます。本スタック開発により、エネルギーにおけるパワーユニットの統合が改善できると信じています」と語った。