風と雨から電気を作る人工植物「パワープラント」を開発

Cite This:ACS Sustainable Chem. Eng. 2024, 12, 2, 695-705

風や雨のエネルギーを利用して電気を作り出す小さな植物「パワープラント」を、ノースイースタン大学らによる国際共同研究チームが開発した。この小型エネルギーハーベスターは、人工植物に組み込まれ、効率的に電力を生産できることが実証された。研究成果は、『ACS Sustainable Chemistry & Engineering』誌に2024年1月2日付で公開されている。

自然のエネルギーを電気エネルギーに変換する従来の手法は、太陽や風など1種類の自然資源に依存しているため、その対象となる資源が利用可能な場合にしかエネルギーを生産できず、例えば日没後や無風時はほとんど発電できないといった問題がある。そこで近年は、1台のデバイスでさまざまな再生可能エネルギー源を利用できる、マルチソース・エネルギー・ハーベスターが登場している。

今回研究チームは、風と雨の両方から発電できるマルチソース・エネルギー・ハーベスターを開発した。風からは摩擦帯電型ナノ発電機(TENG)、雨からは液滴型発電機(DEG)を用いて、エネルギーを回収する。TENGは、テフロンとして知られているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と銅の電極間にナイロンファイバーが挟まれた構造をしている。各層が互いに押し合うと静電気が発生し、電気に変換される。PTFEはDEGにも電極として使用されている。雨滴が電極に当たると電荷のバランスが崩れ、電気が発生する。最適条件下でごく短時間だが、TENGは252V、DEGは113Vの電圧を発生することができた。

TENGの上にDEGを取り付けて葉型にした物を人工植物に組み込んで、自然の風や雨を模倣した条件下にさらす実証実験をしたところ、10個のLEDライトを点滅させることに成功した。実証実験の結果から、この「パワープラント」をさらに大規模なシステムやネットワークに発展させることで、自然資源からクリーンなエネルギーを生産することができると研究チームは述べている。

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