- 2024-3-18
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- Bed Poudel, Energy & Environmental Science, インスリンポンプ, ペンシルベニア州立大学, ペースメーカー, ワイヤレス充電装置, 医療用インプラント, 学術, 携帯電話, 磁場, 超音波, 電気自動車(EV)
ペンシルベニア州立大学の研究チームは2024年2月20日、医療用インプラントにワイヤレスで電力を供給できる充電装置を開発したと発表した。同装置は、磁場と超音波の両方から同時にエネルギーを効率良く捕集できる。
同研究成果は2024年1月24日、「Energy & Environmental Science」誌に掲載された。
ペースメーカーからインスリンポンプに至るまで、医療用インプラントは信頼性の高い電力供給を必要とする。外科的交換をせずに、動作に必要な電力を継続して供給可能なワイヤレス給電システムは効果的な方法だ。
現在、侵襲性を下げるためにインプラントが小型化されており、その場合、携帯電話や電気自動車に使われている従来のワイヤレス給電技術では、給電効率が大幅に低下してしまう。この課題に対処するために電力を上げる必要があるが、問題はワイヤレス給電に使用する高周波電磁波の身体への有害性だ。
そこで、研究チームは低周波で動作する磁場と超音波を電力源に採用した。従来の研究では電力源にいずれかの利用、に重点を置いてきた。しかし、単一の電力源を利用するアプローチでは、将来の小型医療用インプラントを充電するのに十分な電力を供給できない可能性がある。
研究チームが開発した装置は、磁場を電気に変換するために2段階の過程を踏む。磁歪性層が磁場を応力に変換し、圧電層が応力すなわち振動を電場に変換する。同装置は磁場を電流に変換でき、さらに圧電層で超音波を電流に変換できるため、磁場と超音波の電力源を効率よく使用でき、高い適応性を持つ。
ペンシルベニア州立大学のBed Poudel教授は、「われわれの装置は2つの電力源を利用することで、次世代インプラントが要求する十分な電力を、組織を傷つけることなく供給できます」と説明した。
同装置は、医療用途だけでなくスマートビルにおけるワイヤレスセンサーネットワークへの電力供給にも応用できるという。
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