米ロスアラモス国立研究所、核兵器の挙動を把握する「Scorpius」加速器を製作開始

米ロスアラモス国立研究所は、2024年3月27日、核兵器の挙動を研究するための装置、「Scorpius」加速器の製作を開始したと発表した。この発表は、Scorpius Advanced Sources and Detection(ASD)プロジェクトの一部である。

Scorpiusの目的は、核兵器を構成する主要元素の挙動の把握だ。核分裂の連鎖反応が持続しない「未臨界」状態のプルトニウムを使用して、プルトニウムの劣化、挙動、安全性に関する情報を収集し提供する。

Scorpiusの主な構成要素は全長122mの線形加速器だ。この加速器を構成するセルモジュールは、磁石、電源供給、真空ポンプ、冷却水、制御機構を持つ物理的な真空チャンバーであり、ミクロン単位の寸法精度で結合されている。

この実験装置で、過酷な条件下におけるプルトニウムの挙動をX線で撮影し、そのデータから、より正確な挙動を把握する。Scorpiusは、計算ツールと工学的な試験施設によって、地下核実験よりも安全で信頼性の高いシミュレーション手段を提供する。

現在、Scorpiusの最初の2つの加速器セルモジュールの製造が進行中で、それぞれが3つのセルで構成される。これらのセルモジュールは、トラックでネバダ国家安全保障施設へ移送され、そこで最終的に組み立てられる。作業は2024年末までに完了予定だ。

このプロジェクトは、ロスアラモス、サンディア、ローレンス・リバモアの各国立研究所と、ネバダ国家安全保障施設の研究者による共同研究である。Scorpiusは、核兵器に関わる材料、設計、運搬システムなどの側面から、アメリカの核兵器備蓄に寄与する形だ。

関連情報

New machine to enhance understanding of nuclear weapons’ behavior

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る