- 2024-5-31
- 化学・素材系, 製品ニュース
- エネルギー資源, クボタ, グリーンLPG, グリーン水素, バイオマス産業都市構想, バイオ液肥, バイオ燃料, メタンガス, メタン発酵設備, 京都大学, 地域資源循環を通じた脱炭素化に向けた革新的触媒技術の開発・実証事業, 地域資源循環システム, 多元素ナノ合金触媒, 大潟村, 実証実験施設, 早稲田大学, 環境省, 秋田県立大学, 稲わら, 肥料
クボタは2024年5月30日、バイオ燃料などを製造する実証実験施設を秋田県南秋田郡大潟村に建設し、メタン発酵設備の本格稼働を開始したと発表した。大潟村で回収した稲わらからバイオ燃料や肥料(バイオ液肥)を製造する技術面の検証、さらに地域利用するための仕組みの構築に取り組む。
同社は、京都大学を代表事業者とする環境省「地域資源循環を通じた脱炭素化に向けた革新的触媒技術の開発・実証事業」で京都大学や早稲田大学と連携して、稲わらからバイオ燃料やバイオ液肥を製造して農業や家庭で利用する、地域資源循環システムの構築に向けた研究を2022年度より進めている。今回の実証プラント稼働は、その一環となる。
今回の実証事業でクボタは、稲わら収集からバイオ燃料、バイオ液肥の地域利用までの仕組み作りと、稲わら由来のバイオ燃料、バイオ液肥の製造および利用方法に関する技術開発を担う。
京都大学は多元素ナノ合金触媒開発、早稲田大学は触媒の潜在能力を最大限に引き出す反応プロセスの開発と、稲わら由来物からグリーン水素、グリーンLPGへの変換技術の開発を担当する。
稲わらからは、バイオ燃料と同時にバイオ液肥も製造し、農業生産にも資する地域資源循環システムを構築する。日本国内で年間約800万トン排出される稲わらは、現在多くが大気中へのメタンガスの発生源となっているため、地産地消型のエネルギー資源として有効活用することを目指す。
また、稲わらからバイオ燃料やバイオ液肥を製造する技術開発に加え、稲わらの収集やバイオ燃料、バイオ液肥の地域利用に向けた仕組みづくりのための課題抽出や検証を実施する。これは、地域に根差したフィールド実証が重要になるため、大潟村で実施する。
大潟村は、日本有数のコメの生産地として知られており、大量の稲わらが発生する。さらに、同村の「バイオマス産業都市構想」には、稲わらをメタン発酵させて製造するバイオガスや液肥の活用が含まれており、実証事業との親和性が高い。
実証事業の実施期間は、2022年度~2029年度を予定。実証実験施設は、前処理設備、メタン発酵設備、保管設備等で構成されている。敷地面積は約6000平方メートル、発酵槽容量は30立方メートルとなる。今後、稼働したメタン発酵設備に加え、グリーン水素、グリーンLPGの製造設備の追加設置を予定しており、大潟村で収集した稲わらを原料とするバイオ燃料の製造実験を実施する。
秋田県立大学、大潟村との共同研究も並行しており、稲わら収集による温室効果ガスの削減効果やバイオ液肥の肥料効果を確認していく。