- 2024-8-9
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少子高齢化や働き方改革が進むにつれて、これまで長く続いてきた「年功序列」や「終身雇用」といった雇用のあり方が、大きく変わっていくことが予想されます。
そのような時代にエンジニアとして長く活躍し続けるためには、「キャリアパス」を考えることが重要です。しかし、どのように考えればよいのか悩まれる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、エンジニアがキャリアを考える重要性や、キャリアパスを考えるステップなどを解説します。ぜひご覧ください。
目次
エンジニアがキャリアパスを考える重要性
「キャリアパス(Career Path)」とは、直訳すると「経歴の道筋」という意味で、企業が従業員に対して「どのような道筋で、どのような職位や職務を目指せるか」を示すものです。似たような言葉である「キャリアプラン」は、企業内でのキャリアパスを超えた、転職や独立なども含みます。
そして、これからのエンジニアはキャリアパスやキャリアプランなど、将来を見据えて自身のキャリアを考えることが重要になります。なぜなら、年功序列や終身雇用が衰退し、以前のように入社したら定年までエスカレーター式に昇進、昇給していくというキャリアパスを描ける企業が少なくなってきているからです。
これからの時代は、新卒採用者を一から教育して長期雇用する「メンバーシップ型雇用」から、スキルや経験のある中途採用者に即戦力として活躍してもらう「ジョブ型雇用」に切り替える企業が増えていくと考えられます。そのため、ジョブ型雇用でも活躍できるキャリアを考え、計画的にスキルアップして経験を積んでいくことがポイントになります。
エンジニアの代表的なキャリアプラン
特定分野に特化したスペシャリスト
エンジニアの代表的なキャリアプランとして第一に挙げられるのは、特定分野に特化したスペシャリストです。この分野では誰にも負けないという専門知識とスキルを身に付けることで、社内の評価も市場価値も上げられます。
ただし、技術は著しいスピードで進化しているため、選んだ分野が時代遅れになることもあるのが注意点です。1つの分野に固執せず、スペシャリストとしての軸を増やしていければ、保有する技術の掛け算でエンジニアとしての強みが増します。
例えばITエンジニアであれば、DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI(人工知能)など、時代が求める分野にキャリアを伸ばすとよいでしょう。また、製造業エンジニアであれば、技術的なスキル以外に英語などの語学力を高めることで、海外要員として活躍できるなどキャリアの幅が広がります。
複数の分野をこなすゼネラリスト
いろいろな分野に興味のある人や実際に従事してきた人は、複数の分野をこなすゼネラリストを目指すキャリアプランもあります。
ゼネラリストは幅広い知識や経験に基づいて、多くの人が関わるプロジェクトをマネジメントしたり、クライアントの問題をヒアリングしてソリューションを提供したりできます。
エンジニアは、スペシャリストとして技術至上主義が行き過ぎると近視眼的になり、人とのコミュニケーションをないがしろにしてしまうこともあります。そのため、バランス良く全体を見ることができ、コミュニケーションスキルのあるゼネラリストは重宝されます。
マネジメントではなく現場寄りの業務をしたい人は、スタートアップや中小企業など、業務範囲が広く、一人で何でもこなす必要のある環境の方が、ゼネラリストとして自分の強みを生かせるでしょう。
技術分野を絞ってスペシャリストを目指すのか、それとも複数の分野をカバーできるゼネラリストを目指すのか。技術分野という軸で考えるのも重要ですが、どのような業務で技術に関わっていきたいのかを考えておくことも大切です。
専門的な知識を突き詰めていくよりも、誰かに分かりやすく説明したり、役立ててもらったりすることにやりがいを感じるのであれば、セールスエンジニアという職種が向いているでしょう。特定の技術分野で、かつ最先端の技術に触れていたいのならリサーチエンジニアの仕事を調べてみてください。ビジネスのことを考えながらシステム全体を設計するITアーキテクトといった働き方もあります。会社の技術戦略やエンジニア採用、チーム運営などについて責任を負う最高技術責任者(CTO)を夢見るのもいいかもしれません。
理想のキャリアプランを実現するための働き方は?
自分の目指すキャリアプランを思い描くうちに、どのような働き方であれば理想に近づけるのか、雇用形態についても考えることになるでしょう。いくつか、エンジニアの働き方についての例を挙げていきましょう。
「生涯1企業」か「ジョブホッパー」か
生涯をひとつの会社で勤め上げる生き方もあれば、3年以内に次々と勤務先を変えていく「ジョブホッパー」と呼ばれる生き方もあります。
同じ企業に長期間勤めることのメリット/デメリット。自分のやりたい仕事や得たい報酬を求めて転職を繰り返すことのメリット/デメリット。どちらがより理想に近い人生を歩めるかは人それぞれです。
転職を恐れず、かといって安易に転職するのでもなく、理想のキャリアプランに近づけるように転職というカードをじっくりと検討してください。
思い切って起業という選択肢も
自分の実現したい製品・サービスがあり、企業に雇われて働いている限りは実現できそうにないのであれば、思い切って起業するという選択肢もあります。
一昔前と比べて、クラウドファンディングを使って資金を集めたり、自治体などから手厚い支援を受けられたり、起業に失敗したとしても再就職や後述のフリーランスとして働いたりと、相対的に起業するリスクは低くなってきています。全員にすすめられるものではありませんが、どうしても実現したい製品・サービスがあるのなら、起業したときの勝算などについて、誰かに相談してみるのもよいでしょう。
仕事内容から職場を選べるフリーランス
仕事内容に合わせて人材を採用する「ジョブ型雇用」と相性が良いのが、フリーランスという働き方です。
スペシャリストでもゼネラリストでも、企業に所属すると上司の指示や職場の空気に従って思うような仕事ができなかったり、望んだキャリアパスを描けなかったりします。転職しようにもスキルが向上していない場合、年収ダウンも覚悟しなければなりません。
その点、フリーランスは「会社」ではなく「仕事」で選ぶことができるため、望んだキャリアプランを描きやすいです。仮にミスマッチが起きても契約が終了すれば、後腐れなく次の仕事にチャレンジできます。
ただし、会社員と違い安定した給与や会社という後ろ盾がないため、十分な実力がない場合は不安も大きくなります。
官か民か、大学などの研究機関への道も
スペシャリストとしてのキャリアを突き詰めていくうちに、扱っている技術にドップリはまってしまうこともあるでしょう。会社員として働いていたら、利益を追求する姿勢が多かれ少なかれ求められます。純粋に技術を研究していきたいのなら、狭き門にはなるでしょうが大学などの研究機関に入り直す道もあり得ます。
研究機関で働くことまでは考えられなかったとしても、産学連携の取り組みに企業側から参加することもあるでしょう。働きながら、あるいは休職して、大学院へ通うことを応援してくれる企業もあります。
アカデミックな働き方に憧れがあるのなら、今の自分がいるところから、どうすればその場所に近づけるのか、いろいろと可能性を模索してみるのもいいと思います。
エンジニアのキャリアパスを考えるステップ
ステップ①自己分析や棚卸しをする
エンジニアがキャリアパスを考える上で、まず重要なのは自己分析です。これまでの人生や仕事を振り返って「好きなこと」や「得意なこと」を書き出してみましょう。また「よく頼まれること」も重要な要素になります。これらがなるべく重なる領域でキャリアパスが描けると、仕事に充実感を持てるでしょう。
逆に「嫌いなこと」や「不得意なこと」も書き出してみましょう。マイナス要素は克服することで大きな成果をあげることもありますが、モチベーションの低下につながりやすいため、どうしても挑戦したい場合を除いて避けた方がよいでしょう。
さらに、実際にやってきたことを棚卸しします。これまでどんな部署でどんな業務をこなしてきたかを振り返り、自分のスキルや強み、または弱みを把握することがポイントです。
ステップ②業務やポジションを検討する
ステップ①の自己分析や棚卸しを基に、目指す業務やポジションを検討します。大きくは「スペシャリスト」か「ゼネラリスト」に分けられるでしょう。
コミュニケーションの苦手な人がゼネラリストを目指すと、プロジェクトマネジメントやクライアント対応ができずに、幅広い知識やスキルを持っていても生かせない可能性があるため、注意が必要です。コミュニケーションの苦手な人は、スペシャリストとして技術の軸を増やしていく方向がよいでしょう。
また、企業によっては年齢を重ねるとマネジメントの役割を求められるため、スペシャリストとしてのキャリアパスを望めない場合があります。そのような場合は、転職や独立も検討しなければなりません。
どの業務やポジションを目指すにせよ、社内評価だけでなく、市場価値を高めることを念頭に置く必要があります。
ステップ③計画を立てて実行する
ステップ②で目指す業務やポジションが決まったら、計画を立てて実行します。まず、目指す業務やポジションに対して、今の自分に何が足りないのかを洗い出します。社内でロールモデルとなるような上司や先輩がいれば、直接相談してみるのもよいでしょう。
何が足りないのか分かったら、その足りないスキルや経験を埋めていく計画を立てます。スキルや経験を高めるチャンスがあれば、積極的にチャレンジしていきましょう。
また、今の環境では必要なスキルや経験が得られないと思われる場合でも、新規提案や異動願いを出すことによって、望むキャリアパスを描ける場合があります。今の環境で市場価値を高めることができれば、より条件の良い転職先も見つけやすくなります。
職種別に見るエンジニアのキャリアパス例
エンジニアのキャリアパス例として、以下の6つの職種を取り上げます。
・システムエンジニア
・Webエンジニア
・インフラエンジニア
・テストエンジニア
・フィールドエンジニア
・セールスエンジニア
それぞれ見ていきましょう。
システムエンジニア
システムエンジニアは、「組み込みエンジニア」などのスペシャリストとしても技術を高めていけるキャリアパスがあります。
システムエンジニアは、例えば金融や物流などを管理するシステムを取り扱います。一方、組み込みエンジニアが取り扱うのは、機械を制御するシステムです。畑違いに思えるかもしれませんが、どちらも要件定義、システム設計、実装、テストという開発の流れは同じなので、キャリアを十分に生かせます。
また、技術を高めることよりもマネジメントに適性があるならば、「開発ディレクター」や「プロジェクトマネジャー」として活躍することも可能です。
Webエンジニア
Webエンジニアは、ユーザーから見える操作部分を担当する「フロントエンドエンジニア」と、ユーザーからは見えない処理部分を担当する「バックエンドエンジニア」に大きく分けられます。
フロントエンドもバックエンドも両方できると「フルスタックエンジニア」と呼ばれ、Webエンジニアのキャリアパスの1つになります。
また、フロントエンドエンジニアはUI/UXのスキルを生かして「Webディレクター」に、バックエンドエンジニアはデータ処理のスキルを生かして「データベースエンジニア」として活躍する道もあります。
インフラエンジニア
インフラエンジニアと一口に言っても、「ネットワークエンジニア」「サーバーエンジニア」「データベースエンジニア」「セキュリティエンジニア」「クラウドエンジニア」など、さまざまな職種があります。そのため、インフラエンジニアとして対応できる分野を増やしていくことが、キャリアパスの1つとして挙げられます。
また、インフラエンジニアのスキルは「バックエンドエンジニア」でも生かせるため、インフラ周りに強いWebエンジニアとして差別化を図ることも可能です。データベースのスキルが高ければ、「データサイエンティスト」としての道も開けます。
テストエンジニア
テストエンジニアは未経験でもチャレンジしやすく、エンジニアとしてのキャリアを始めやすい職種です。そのため、テストエンジニアのキャリアパスは、その後の希望や努力に応じて決まるとも言えるでしょう。
もちろん品質保証のプロフェッショナルとして、テストエンジニアの道を極めるキャリアパスもあります。プロジェクトの約3分の1はテスト工程とも言われるため、マネジメント力も必要です。
ITエンジニアとしては、プログラミングを学んで「プログラマー」に、そして「システムエンジニア」へと上流工程に移るキャリアパスなどが描けます。
フィールドエンジニア
フィールドエンジニアは、顧客の現場で自社製品を設置したり、メンテナンスしたりします。海外展開している企業ならば、英語や中国語などの語学スキルを伸ばすことで、海外駐在などのキャリアパスが開けます。
顧客とのコミュニケーション能力や、技術的な専門知識を生かして「セールスエンジニア」として活躍することも可能です。フィールドエンジニアの現場仕事が体力的に厳しい人も、セールスエンジニアに転身すればキャリアを有効活用できます。
また、現場での技術的な知見を生かし、開発工程や生産工程のエンジニアも目指せるでしょう。
セールスエンジニア
セールスエンジニアのキャリアパスは、営業職寄りならば「セールスマネージャー」として活躍する道があります。技術的なことよりも数字的なマネジメント力を求められますが、セールスマネージャーとして成果を出すことは、将来的に経営サイドへのキャリアパスを引き寄せるかもしれません。「ITコンサルタント」などのコンサルティング業で独立する人もいます。
また、セールスエンジニアは、そのコミュニケーションスキルを生かして「プロジェクトマネージャー」も目指せます。エンジニアをマネジメントするに当たって、技術的な話ができるのは強みになります。
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少しでもキャリアに悩んだら、プロのエージェントに相談してみるのもあり
たとえ転職する気がなくても、少しでも自分のキャリアパスやキャリアプランに悩みがあれば、プロの転職エージェントに相談してみることをおすすめします。転職エージェントは、数多くの転職希望者と求人案件をマッチングさせているため、現在の市場価値を的確に判断できます。
自分だけでキャリアパスやキャリアプランを考えると、可能性を狭めてしまいがちです。しかし転職エージェントは、転職希望者の適性や強みを引き出すフレームワークを持っています。そのため、自分では「まだまだスキルや経験が足りない」と思っていても、エージェントからは「そのスキルや経験があれば、もっと良い条件でさらにキャリアを伸ばせます」と提案されるかもしれません。転職エージェントは非公開求人を多く抱えているため、自分では思いも寄らない企業とマッチングしてもらえることもあります。
また、実際に転職を考えている場合は、転職エージェントに相談することで内定率を高められます。転職エージェントは企業が欲しい人物像を把握しているため、スキルや経験を踏まえた効果的なアピール方法をアドバイスすることができます。履歴書や職務経歴書の添削、面接対策をしてもらうことで、今の実力を最大限にアピールして選考に臨めます。
キャリア相談の事例
転職エージェント以外にも、キャリア相談の取り組みを行っている企業があります。一例として、プロフェッショナルなエンジニアによるエンジニアリングソリューションサービスを提供し、事業活動を通じてエンジニア社員のキャリアアップ支援を行っている、メイテックの事例を紹介します。
同社では転職希望のエンジニアに向けて、これまでの業務経歴の棚卸しと、将来の目標や転職の目的、最新の技術動向などを踏まえて、第3者の視点から今後のキャリア形成のアドバイスを行う「キャリア診断会」を実施しています。メイテックへの転職意思は不問で参加でき、元エンジニアで、エンジニアのキャリア支援を行った経歴を持つベテランスタッフが対応してくれます。スタッフによって対応人数に差はあるものの、年間で約500名のキャリア診断を行うこともあるそうです。
キャリア診断会では、転職希望者の活動背景や転職に対する希望、キャリア診断会に期待していることなどをヒアリングした後、職務経歴書を基にキャリアとスキルの棚卸しを行い、エンジニアとしての強みや弱み、今後の成長ポイントを整理します。そして、その内容を基に、キャリア形成の視点から、最新の技術市場動向を踏まえた、今後の活動方針や考え方へのアドバイスをしてくれます。
・転職したいけど、今後どう成長できるのか具体的なイメージが沸かない。
・自分のエンジニアとしての強みを発揮できる会社が分からない。
・同じエンジニアにキャリアについて気軽に相談したい。
このような悩みを持っている方は、メイテックのキャリア診断会への参加を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
エンジニアがキャリアを考える重要性や、キャリアパスを考えるステップなどを解説しました。
年功序列や終身雇用が衰退して「ジョブ型雇用」が当たり前となる時代では、キャリアパスやキャリアプランを考えて、計画的にスキルアップし経験を積んでいくことが重要です。社内評価だけでなく、市場価値を高める意識を持つことで、エンジニアとして長く活躍し続けられます。
ご自身のキャリアに少しでも悩みのある方は、記事にあるように、転職エージェントやメイテックのキャリア診断会などを活用してみてください。
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記事監修
中嶋 嘉祐(なかしま よしひろ)
理系学生向け就職情報誌『理系ナビ』初代編集長。転職情報サイトのWebプロデューサーを務めた後、主に人材紹介会社向けの求人情報サービスを立ち上げるも失敗。現在はオウンドメディアの運用支援業務を中心に活動する。