- 2024-11-22
- ニュース, 化学・素材系, 技術ニュース, 電気・電子系
- CNC切削, ソフトリソグラフィ, フォトダイオード, フローサイトメトリー, 半導体レーザー, 微粒子, 東京農工大学, 研究, 細胞, 計測モジュール
東京農工大学は2024年11月21日、同大学の研究チームが、安価で容易に作製できるフローサイトメトリー式細胞および微粒子数計測モジュールを開発したと発表した。
フローサイトメトリーを用いた分析機器は、高い精度で細胞数を計測できる。一方で、価格が数百万円〜数千万円と高価で、研究や教育現場に気軽に導入できない点が課題となっていた。
今回研究チームが開発した計測モジュールは、3万円弱と安価で製作できる。デザインした3次元形状を削り出すCNC切削と、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン)で型の形状を転写するソフトリソグラフィを用いている。
シリコーン樹脂を用いた本体に、市販の光学および電子部品を挿し込むだけで組み立てができる。光源には、数百円で入手可能な赤色半導体レーザー(波長650nm)を採用した。細胞や微粒子に光を照射し、検出領域を通過した細胞や微粒子が発する散乱光をフォトダイオードで検出することで、細胞や微粒子の数を計測する仕組みとなっている。
同研究チームは、直径が異なる2種類のポリスチレン粒子(直径5µm、15µm)と細胞を用いて、計数の精度や粒子サイズの識別能力を評価した。細胞の計測では、0~500cells/µLの範囲において血球計算盤と同レベルの精度で計測できることが判明した。また、2種類の粒子の計測では、散乱光強度の違いからサイズの違いを識別できることを確認している。
同研究チームは今後、処理能力の向上や検出できる細胞および微粒子サイズの範囲拡大を図るほか、蛍光を用いた多種類の細胞および微粒子の同時計測にも対応する予定としている。
なお、組み立て手順を含む論文やモジュールの部品データ、研究成果の詳細は、ジャーナルおよびデータリポジトリにそれぞれオープンアクセスで公開されている。非営利目的での利用であれば、著作者を適切に表示した上で原作の編集や改変も可能だ。