従来の黒鉛負極に比べて10倍のエネルギー密度をもち、1000kmの航続距離、急速充電を可能にするEVバッテリー

Source: FEV/ProLogium

エンジニアリング企業の独FEVは2024年12月5日、最新世代のラージフットプリント型リチウムセラミックバッテリー(LLCB:Large-Footprint Lithium Ceramic Battery)を発表した。これは、台湾の全固体電池メーカーProLogiumとの共同開発の成果だ。

LLCBは、100%シリコン複合材料からなる負極をもつ。同製品は、従来の黒鉛負極に比べて10倍の容量密度を達成した。車両に搭載する際の効果は、車両セグメントや使用目的にもよるが、最大300kgの軽量化と最長1000kmの航続距離が見込まれている。

LLCBを構成する固体電解質は、現行品の液体電解質とは異なり不燃性だ。これにより、熱暴走に対する安全性が向上するとともに、万が一電解液が流出した場合でも、漏れた電解液によるショートを防止できる。

従来品の場合、急速充電の間隔に約30分を要するのに対し、シリコン負極の場合は充電時間を80%以上短縮する「超」急速充電プロセスを提供する。LLCBは、5分以内に5%から60%まで充電でき、平均300kmを走行できる。

さらに3分後、バッテリーの充電率は80パーセントまで達し、100km走行できる。同社は、この充電時間の性能について、内燃エンジン車の給油プロセスに近づけることに役立っていると説明した。

また、バッテリーセルのスリムな形状は、バッテリーパックの省スペース設計に貢献した。この特長は、OEMに新たな選択肢を提供するとともに、バッテリーのモジュール設計によって整備が容易になり、コストを削減し、個々のセルの交換やリサイクルにも対応する。

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FEV and ProLogium present innovative vehicle battery

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