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しなやかで高耐久な3Dプリント用コンクリートを開発 米ニューメキシコ大学

米ニューメキシコ大学は2025年1月16日、同大学の研究チームが3Dコンクリートプリンターで用いる、高耐久性セメント材料を開発したと発表した。この「自己補強型超高延性セメント系材料」は、4種類の材料を配合しており、最大で11.9%ものひずみ耐性を示した。

従来の建設は人が重機を操作して建物の骨組みを作るため、危険が伴いコストも高い。その課題を解決するため、3Dコンクリートプリンターで建造物を作ることが一部実現している。しかし、梁や鉄筋などの構造部材を事前に配置する必要があり、3Dプリンティングの自動化という利点を十分に活かせていない。

また、材料のコンクリートは引張耐性が低いため、地震や強風などの横方向の力に弱く、メンテナンスが必要となる。より耐久性の高い材料を使えば、公共インフラの寿命を延ばし、維持費を削減できる可能性がある。

そこで研究チームは、3Dコンクリートプリンター用の高耐久性材料である、自己補強型超高延性セメント系材料を開発した。3Dコンクリートプリンターの材料は、十分な繊維を含みつつ、プリンターのノズルをスムーズに通過できる粘度を持つ必要がある。なぜなら、繊維が少なすぎると造形物が自重で崩れてしまい、逆に繊維が多すぎるとプリンターのノズルをうまく通過できないからだ。研究チームは、ポリビニルアルコール、フライアッシュ、シリカヒューム、超高分子量ポリエチレン繊維などを組み合わせた材料を探求した。

同大学のHojati助教授は、「この材料には大量の短いポリマー繊維が含まれているため、曲げや引張の荷重がかかってもコンクリート全体を維持できる。この材料を大規模に使用すれば、3Dプリントされたコンクリート構造物に対する補強を最低限に抑えることができる」と述べた。

この技術は、将来的に宇宙探査にも役立つ可能性がある。宇宙旅行には厳しい重量制限があり、従来の建設方法は現実的ではない。鉄骨などの重い材料を持ち込むのは困難であり、多人数の作業員を派遣することもできない。そのため、NASAや他の宇宙機関は、3Dプリンターを活用した新たな建設方法を模索している。

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