脳に埋め込み神経細胞と接続する電子プローブ――脳医学研究や生体信号によるロボット制御が狙い

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スウェーデンのリンショーピング大学は、ヒトの組織のように柔らかく、体に埋め込んで神経信号を収集できる生体適合性のある導電性素材を開発した。研究成果は論文「High-Density Stretchable Electrode Grids for Chronic Neural Recording」として、『Advanced Materials』誌に掲載されている。

神経細胞と電子部品を接続することは、細胞内信号伝達の調査ばかりでなく、癲癇(てんかん)のような神経疾患の診断にも有用だ。しかし、神経細胞や組織にダメージを与えることなく、硬くて弾力性のない電子部品を柔軟な体の組織に長期間接続しておくことは極めて難しい。

この課題を克服するため、リンショーピング大学は、金メッキを施した酸化チタンナノワイヤーをシリコンラバーに埋め込んだ導電性素材を開発した。この素材には生体適合性があり、ヒトの組織のように柔らかく、2倍の長さまで引き延ばしても高い導電性を維持するという。

この素材を使い、リンショーピング大学はチューリッヒ工科大学と共同で先端に多数の微少電極を取り付けた神経信号収集用プローブを作製した。写真のプローブは幅3.2mm、厚さ80μm。電極の大きさは50μm、電極の間隔は200μmで、32個の電極を形成できる。研究チームはこのプローブを実験用のラットの脳に取り付け、3カ月にわたって自由に動き回るラットの神経信号を収集することに成功した。

リンショーピング大学有機エレクトロニクス研究所の主任研究員で導電素材の開発者のKlas Tybrandt氏は、「脳神経の発する信号を電極で捉えれば、アンプで増幅することができる。どの電極から信号が来たかを調べれば、脳のどの部分から信号が出ているかを特定できる。これによって、癲癇発作を起こす信号の出所を調べることで治療法研究の一助としたり、脳の信号で人工器官をコントロールするインターフェースの開発などを行いたい。」と述べている。

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Capturing brain signals with soft electronics

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