宇宙空間向けの超小型細胞培養モジュールを開発――無人小型衛星に搭載し培養実験に使用 IDDKら

IDDKは2023年8月30日、高砂電気工業、ユーグレナと共同で、宇宙空間向けの超小型細胞培養モジュールを開発したことを発表した。ElevationSpaceの無人小型衛星に搭載し、宇宙での微細藻類の培養実験に使用する。

モジュールの設計と制作は、衛星とのインターフェースに関わる点でElevationSpaceから知見の提供、構造設計支援を得ながら、ユーグレナが担当した。

モジュールには、培養状況を観察するIDDKのレンズレス顕微観察装置「MID」と、培地を供給するための高砂電気工業の超小型バルブ、タンクユニットを搭載。寸法103×57×27mm、重量175gと、総重量200g以下という厳しい制約をクリアし、かつ細胞培養の高度な制御ができる。

開発したモジュールは、ElevationSpaceが2025年に展開する宇宙環境利用・回収プラットフォームELS-R100に搭載し、低軌道に打ち上げ、微細藻類ユーグレナの培養実験に使用する。

宇宙空間での細胞実験は、これまで数千万円規模のコストがかかっていたが、ELS-Rと今回開発した超小型細胞培養モジュールにより、数百万円で実施できる。さらに、今まで難しいとされていた衛星に搭載できる遠隔・自動生物実験装置の実現とその開発期間を短縮できる。

開発したモジュールは、医療分野など多岐にわたる研究分野での活用も期待される。