生産技術職は転職しやすい? 仕事内容や求められる能力、気になる年収について解説!

製造業において効率よく生産を行うための仕組みを構築したり、管理・維持を行っているのが生産技術職です。今回の記事では、生産技術職の転職市場動向や必要とされる能力や経験、転職を成功させるポイントなどを解説していきます。

生産技術とは

生産技術とは、企業活動において部品や製品の生産体制を整える仕事のことで、コスト効率に優れ、品質管理がしやすい生産体制の構築が求められます。生産技術職は企業の利益を左右する、とても重要な役割を担います。

生産体制を構築するために、まずは必要な原料と設備、工程、作業人員などを明確化し、既存設備で対応できない場合は自社開発することもあります。さらに、工場の製造ラインの設計と実装、生産設備の適切かつ効率的な運用と管理、改良まで仕事内容は多岐にわたります。

また生産技術職は、設備投資や原料調達など、生産コストを予算内に収めるコスト管理の仕事も担います。いかに高品質を維持しながらコスト効率を高めるのかが大きな課題となり、その成果は数字として結果に現れるため厳しい面もありますが、モチベーションを持続しやすい仕事内容でもあります。自分が設計、管理する生産ラインで作られた製品が市場で評価されることに、やりがいを感じるエンジニアは多いはずです。

生産技術職の転職市場動向は?

生産技術職には電気系、機械系、ソフトウェア系の各種エンジニアに加え、主に工程の改善を担う工程管理の4つの軸に分類されます。電気系エンジニアに求められるトレンドとしては、スマートファクトリーへの取り組みが加速していることから、PLC(Programmable Logic Controller)とIoT(Internet of Things)の知識と経験が重宝されています。

ソフトウェア系エンジニアも同じ傾向にあり、以前は組み込み開発や生産管理などが中心だったのが、データベースを扱える人材が求められるようになっています。これは現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)に伴い、生産技術職の役割が大きく変わりつつあることを示しており、スマートファクトリーやデジタルツインといった最新技術に精通した即戦力人材の需要が高まっています。

多くの企業で製造ラインを効率化する目的でDXへの取り組みが進められており、これまで困難だった職人のノウハウの継承をデジタル化で克服しようとしています。この取り組みには二つのアプローチがあり、DX対応の一部を業務委託する方法と、製造現場の近くで、社内SEのような動きをするエンジニアを増員して対応する方法です。そのため、社内のデータの扱い方からネットワークやサーバーの環境構築まで、企業にとって最適な方法を検討、判断できるエンジニアの必要性が高まっています。

生産技術職の将来性は?

生産技術職は、製造業が高品質な製品を効率的に生産するためには欠かせない職種であり、将来的にも需要が見込めます。生産ラインに生じる複雑な問題を解決するには創造性が求められ、現状ではAI(人工知能)が担うには多くの技術的な障壁があります。また、海外に工場を立ち上げる企業も多く、将来的に海外で働きたいエンジニアにとっても、チャンスがある職種になります。

国内ではスマートファクトリーへの取り組みが加速していますが、十分なエンジニアの確保が難しい状況にあります。製造業では即戦力となるエンジニアの採用を増やすとともに、データサイエンティストやIT、IoT、AIに精通した人材を育成する動きが見られます。特に大手製造業では、これらの領域に対する投資が増えることが見込まれるため、これまで生産技術職で経験を積んできたエンジニアにとって、今は新たなスキルを伸ばす絶好の機会だと言えそうです。

未経験でも生産技術職への転職は可能?

転職サイトで生産技術職を検索すると、未経験者でも応募可能な求人があることから、未経験でも生産技術職への転職は可能です。しかし、生産技術職には高度な専門知識や経験が求められ、未経験者が直接採用されるのは簡単ではありません。採用された場合は、経験豊かなエンジニアを補助する役割から始まり、徐々に高度な仕事を任されていくことになります。

未経験の場合は製造業の他の職種に転職し、スキルの取得や経験を経て、キャリアチェンジするアプローチも可能です。例えば、製造ラインの作業員として働き、生産現場を経験しながら生産技術職への転職を目指す方法などがあります。

どの職種でも言えることですが、若年層の方がより有利で、さらに転職しようとする分野に関連する経験や資格があればもっと有利になります。例えば、機械メーカーの研究開発職から、同分野の生産技術職への転職は、業界や製品に関する知識があることをアピールでき、採用される確率が高まります。

かといって、生産技術職への転職を検討する際に、これまで培ってきた経験や知識に固執し過ぎるのも良くありません。生産技術職への適正があるかどうかの観点で考えることが大切で、まずはモノづくりに興味があることが前提となります。製造業で働くということは、部署を越えてコミュニケーションをとり、高品質な製品を消費者に届けるという目標を共有することが重要です。

生産技術職は理系のイメージが強く、実際に工学部などの理系出身者が多い傾向にあります。しかし、仕事内容は多岐にわたり、コミュニケーション能力や管理能力といったマネジメントの素養も必要とされることから、文系出身者にも転職のチャンスがあります。また、製品の生産から出荷までの体制の整備、管理を担う生産管理職は、文系出身でも採用されやすい職種になるため、まず生産管理職で経験を積み、生産技術職へのキャリアチェンジを目指すのも良いでしょう。

生産技術職に求められる能力や経験は?

生産技術職は専門知識や技術はもちろんのこと、さまざまな部署との横断的なやり取りをする必要があり、コミュニケーションスキルが求められます。他にも、専門知識やアイデア、交渉力、リーダーシップなどを駆使して課題を合理的に解決していく能力、マニュアルにない不測の事態に落ち着いて対応する柔軟性も必要です。ここからは、生産技術職に求められる能力や経験を項目ごとに紹介していきます。

生産現場での勤務経験

生産技術職は、製造ラインの設計と実装、生産設備の運用と管理が主な仕事であることから、生産現場での実務経験はアピールポイントになります。設備のオペレーターとしての経験に加え、メンテナンスやカスタマイズに携わってきたエンジニアであれば、生産現場や設備の知識が身に付いていると判断され、高い評価を受けることができます。生産現場での経験に加え、スマートファクトリーに関連するITや情報処理、センサー、デジタルといった分野に精通するエンジニアは、今後も高い需要が見込まれます。

コミュニケーションスキル

生産技術職はパソコンや機械を相手に仕事をするイメージがありますが、交渉や調整といった人との関りも多い仕事です。設計通りの製品の製造には設計や開発部門との連携が、製造ラインの実装や改善には現場担当者の協力が欠かせません。そのため、良好な人間関係を築くためのコミュニケーションスキルは必須です。さらに海外の工場に勤務する場合は、外国語の習得に加え、国の文化や慣習に順応できる柔軟性も求められます。

課題解決スキル

生産技術職は開発から製造への橋渡しの役割が求められ、その過程ではさまざまな課題に直面します。単に開発された製品を正確に作れば良いだけではなく、生産コストが業績にも影響することから、経営や開発、製造部の関係者と折り合いをつけながら仕事を進めなければなりません。そのため、生産技術職は前例に従うだけでは務まらず、課題に直面した際は専門知識や経験、対人スキルを活かし、主体的に動いて解決するスキルが求められます。

生産技術職の転職に役立つ資格は?

生産技術職への転職を目指すのであれば、生産技術の仕事に関連するスキルを習得する必要があり、資格を取得することで面接時のアピールになります。特に重要なのがCADと情報処理技術関連で、語学関連の資格は海外勤務の希望者だけでなく、最新技術の情報収集にも役立ちます。

CAD利用技術者試験

生産技術職の仕事には設備や製造ラインの設計、改良などが含まれることから、さまざまなモノづくりに活用できる、汎用性の高いツールであるCAD関連の資格を取得すると有利になります。一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)が主催する「CAD利用技術者試験」は、2次元CADと3次元CADに分かれており、2次元CADでは基礎知識を身に付ける基礎試験から、高度な製図能力の証明になる1級試験などを受けられます。3次元CADでは、2級、準1級、1級試験が用意されています。

情報処理技術者試験

情報処理技術者試験は、情報処理に関する知識や技能が身に付いていることを証明する国家試験です。「ITパスポート試験」「基本情報技術者試験」「ITストラテジスト試験」などを含む12の試験区分から構成され、特に基本情報技術者試験は認知度が高く、スマートファクトリーを促進する製造業への転職には有利になります。試験区分で差はありますが、全体的な難易度は高めとなっており、最新情報が盛り込まれている対策本や通信講座で学ぶ必要があります。

語学関連の資格

海外向けのフィールドエンジニアや海外赴任を希望する場合、語学関連の資格があれば候補者に選ばれる可能性が高くなります。また、最新技術の情報が英語のみで発信されている場合や、オフショア開発など、外国人と接する機会がある場合など、英語を使う機会はこれからも増えることが見込まれます。英検では準1級以上、TOEICでは750点以上あればビジネス英語にも対応できるレベルと判断され、よりハイレベルなキャリア形成に役立ちます。

生産技術職に関する求人の平均年収は?

生産技術職は、未経験者から経験者まで、製造業を中心に多くの求人が出ており、需要の高さが伺えます。分野としては、自動車の電装部品やカーメカトロニクス関連製品、食品、EV部品向け樹脂金型、トナーなど、多様なメーカーが生産技術職の人材を求めています。

仕事内容は、システム管理業務から生産ラインの構想と導入業務、企画と提案、業者選定と折衝、進捗管理、導入時の指導など。さらには、生産性向上を目的としたスマートファクトリーへの取り組みや工場の自動化推進、ロボットやIoTを活用した生産ラインと生産管理システムの構築、設備トラブル対応など、高度なスキルと知識が求められる業務があります。

一方で、図面確認と検査、データ作成といった未経験者向けのサポート的な業務もあり、これから生産技術職を目指してキャリアパスを進もうとしている人にも門戸が開かれていることが伺えます。

エンジニア求人を豊富に保有するメイテックネクストによると、生産技術エンジニアは、近年、幅広い経験・スキルを求められる傾向があり、保有しているスキル・経験により、内定時の評価が大きく異なります。

従来は、「工程設計」「治具設計」「シーケンス制御」「設備設計」「設備導入」「工程改善」「設備保全」から始まり、「自動化」「省人化」「産業ロボット」導入などの経験をしていれば、高い評価を受けることができましたが、現在はそれに加えて「IoT」「DX」「データ分析」などのソフト系のスキルを柔軟に扱い、スマートファクトリー化に貢献出きれば、更なる評価アップが期待できます。また、「カーボンニュートラル」「省エネ」「サステナビリティ」などの環境に配慮した知識・業務経験の需要も高く、評価される傾向にあります。

生産技術エンジニアの年収は、大手であれば35~40歳で内定時の年収800万を超えることがありますが、即戦力として経験がマッチしていたり、社内のエンジニアが持っていないIoTスキルがあれば、40歳代で内定時に1,000万を超える方も出てきています。

生産技術職に関する求人への転職を成功させるポイント

生産技術職への転職は、業界の動向を知り、企業の情報を入念に調べることから始めてみましょう。製造業のどの分野が成長しているのか、企業がどのような人材を求めているのかといった情報を、普段からアンテナを張って収集する活動も大切になります。行きたい企業が見つかれば、自分の実績やスキル、知識が通用するかを客観的に分析することで、思い通りの転職につながるはずです。ここからは、転職を成功させるポイントを項目ごとに紹介していきます。

業界や企業の情報を調べる

生産技術職への転職を成功させるためには、まずは入念に業界や企業について調べる必要があります。生産技術職を求める業界は製造業がメインで、製造業には自動車や電気機器、鉄鋼、食品、衣料品、化粧品、医療などさまざまな分野があり、これまでの自分の経歴と何を作ることに興味があるのかを照らし合わせ、どの分野に行きたいかを絞ります。

分野を絞り込めたら、その分野を代表する企業を複数ピックアップします。各企業で製品や理念にどのような違いがあるのか、企業間の資本関係、業績の推移、事業の成長性、求人などの情報をインターネットから集めます。最新の情報は、普段から新聞や雑誌、テレビの報道などから得るよう、習慣付けすることも大切です。集めた情報を分析し、転職先として相応しいと感じたら直接求人に応募するか、転職エージェントに相談してみましょう。

転職理由と志望動機を明確にする

転職活動で重要になるのが、転職理由と志望動機を明確にすることです。採用担当者が必ず質問してくる項目なので、悪いイメージを与えないような説明が必要になります。前向きな理由で、かつモチベーションと将来性の高さをアピールできるのが理想的です。

製造業で多い転職理由には、待遇や労働環境、人間関係、仕事内容への不満などがあります。正直に転職理由を伝えることも大切ですが、不満をそのまま伝えてもネガティブな印象になってしまうため、伝え方には注意が必要です。

例えば、仕事内容への不満が大きな転職理由の場合、自分のスキルや経験に見合う仕事ができていない現状と、転職によりそのことが解消される可能性が高いことを具体的に説明するようにしましょう。採用担当者を納得させる説明スキルも、生産技術職に求められる素養の一つです。

実績と経験、スキル、知識を把握する

転職先の生産技術職に見合う能力を備えているかを証明するには、これまでの実績と経験、スキル、知識をアピールしなければなりません。せっかく十分な能力があったとしても、自分で正確に把握してないと相手に伝えることができません。

生産技術職は未経験でも、開発や設計、品質管理、生産、保守など製造業での経験を積んでいる場合、扱ってきた製品や業務内容によっては評価されることがあります。そのため、まず具体的な実績と経験、スキル、知識を自分で把握し、具体的に伝えることができれば能力の証明になります。知識については、CADやIT、語学関係の資格があればより有利になります。

生産技術職の経験者の場合、自動車分野などの環境で経験を積んでいると他業種(特に医療機器関連)で高く評価されるケースもあるため、医療機器系メーカーへ好待遇で転職できる かもしれません。自動車分野の経験者が評価されるポイントとしては、自動車の厳しい安全基準への理解、コスト削減(工数削減)の視点を持っていること、VA(Value Analysis)、VE(Value Engineering)への知識・経験が深いなどが挙げられます。

自己PRを簡潔にする

転職理由や志望動機、実績などを書類や面接時に伝える際は、相手の知りたいことを簡潔にまとめることが重要です。伝えたい内容が多すぎると内容にまとまりがなく、浅くなってしまい、印象に残らないものになる危険性があります。例えば、実績はすべて伝えるのではなく、転職後に特に役立ちそうなものに絞ってアピールするようにしましょう。アピールする項目は二つに絞り、自己PRに適切な文字数は300~400字程度と言われています。

転職エージェントを利用すると、選考対策において説得力のある志望動機の伝え方や、よく聞かれる質問に対する答え方などのレクチャーが受けられます。実践的なアドバイスとサポートを提供してくれるため、入念な選考対策ができ、転職活動をスムーズに進められます。経歴やスキルを登録すればキャリアアドバイザーから希望条件に沿った求人を提案してくれるため、、優良求人に出会うチャンスが広がります。

生産技術職に関する求人の会社選びのポイント

エンジニア向けの転職支援サービスを提供しているメイテックネクストによると、会社選びのポイントとしては、まず自身の現状の生産技術スキルを棚卸した上で、今後のキャリアを考え、どの様なスキル・経験を身に付けたいと思っているのかを明確にすれば、途中で悩まず、ブレない活動ができるそうです。

スマートファクトリーに関わる求人であったとしても、「これから導入を検討するので、何が必要で、どのようなシステムで製造ラインを構築するのかゼロから考える」、もしくは、「一部のラインで、ある程度のDX化、IoT化が進んで実績が出ているので、今後は国内外の工場に実績のある取り組みを水平展開していく」など、求人の中でもフェーズが異なることがあります。ここを見間違えると、自分が思い描いていた活躍とは異なる方向にキャリアが進むことがあるので、注意が必要です。
また、毎日大量に生産される半導体や電子部品の生産技術を担当するのか、月に数台生産する大型医療機器の生産技術を担当するのかでも、工程設計の中身や考え方、取り組みが大きく異なるので、そのイメージも持つことも必要となります。

生産技術職への転職なら「メイテックネクスト」

エンジ二アに特化した転職支援をしているメイテックネクストでは、国内のあらゆるモノづくり企業から生産技術の求人をお預かりしています。半導体、航空宇宙、自動車、医療、家電、プラントなどの各業界はもちろん、若手・第二新卒歓迎の求人から、即戦力を求める求人まで、生産技術エンジニアの方にあらゆる切り口から提案できる環境が整っています。

自身の今後のキャリアの相談から、転職の方向性についての悩みなど、初めての転職活動の方でも丁寧に対応させていただきます。また、複数の企業を比較しながら働き方や条件を見比べていただき、納得のいく企業に転職できるように支援、サポートすることを心掛けておりますので、是非一度お話をお聞かせ下さい。

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まとめ

生産技術職は専門的な技能を要する職種なため、未経験での転職は難しいのは確かですが、仕事内容は幅広く、人材が不足しているため、文系出身者や未経験者でも挑戦するチャンスがあります。そのチャンスをつかむために、CADやIT、語学の資格の取得を目指したり、業界や企業の情報収集をしたり、転職活動に向けた準備をすることが大切です。

既に生産現場のDXやスマートファクトリーに向けた取り組みが加速しており、従来の生産技術だけでなく、デジタル技術に精通したエンジニアの需要が高まっています。今後もエンジニアの転職市場がより活発になり、さまざまな仕事にチャレンジができる時代になることが期待されます。


記事監修
梅津 太一(メイテックネクスト 東京支社長)

中小から大手メーカーに対する採用コンサルティングを4年、その後はキャリアアドバイザーとして11年、延べ4000名以上のエンジニアのキャリアカウンセリング経験を持ちます。得意としていることは「求職者の強みの抽出」と「要素技術軸、工程軸(方法論)でのマッチング」です。昨今のマーケットは先が読みくいが故、自身が今どのような経験を積むべきか、また、どの分野(強み・弱み)に負荷をかけ成長を促すかを求職者と一緒に考えていきたいと思います。


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