- 2023-12-21
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- ネット・ゼロ・エミッション経済, リチウム, ローレンス・バークレー国立研究所, 地熱塩水(かん水), 地熱発電, 既存地熱地域(KGRA), 直接リチウム抽出法(DLE), 米エネルギー省(DOE), 電気自動車(EV)
米エネルギー省(DOE)は、2023年11月28日、カリフォルニア州ソルトン湖地域に豊富なリチウム資源が存在するという、DOE所管のローレンス・バークレー国立研究所が実施した分析の結果を発表した。
分析結果によると、ソルトン湖地域の総埋蔵資源量は3400キロトン以上のリチウムを生産できる可能性があり、その量は電気自動車(EV)用バッテリー3億7500万台分以上に相当し、アメリカ国内を走行する自動車の総台数を上回るという。
この分析によって、2050年までにネット・ゼロ・エミッション経済を実現するというバイデン米大統領の目標に不可欠な、定置用蓄電池とEV用バッテリーに使用される重要な鉱物のアメリカ国内供給源として、この地域が大きな可能性を秘めていることが確認された。
アメリカは、国産リチウムを抽出、精製、生産する能力が限られており、アメリカが必要とするリチウムのほぼすべてを輸入しなければならない状況だ。地熱発電の副産物である地熱塩水(かん水)からの直接リチウム抽出法(Direct Lithium Extraction:DLE)を利用することは、クリーンで再生可能な電力と国産リチウム資源を結びつける有望な機会となるかもしれない。
ソルトン湖の既存地熱地域(KGRA)には、約400メガワットの地熱発電設備が設置されており、最大で2950メガワットの潜在発電能力があると推定されている。つまり、この地域のリチウム資源を利用しながら、地熱発電を増やしていく余地があるということだ。
また、この調査では、リチウム採掘による水使用、大気排出、固形廃棄物などの環境への影響も評価され、地元の人たちの懸念や考えに配慮するため、周辺地域とのヒアリングセッションや話し合いが行われた。