阪大ら、NOx発生量を抑えたアンモニア燃焼技術を開発 火炎の伝熱強化も達成

大阪大学と大陽日酸は2016年10月31日、窒素酸化物(NOx)の発生を環境基準値以下まで抑制すると同時に火炎の伝熱を強化する「アンモニア燃焼技術」の開発に成功したと発表した。

アンモニアは、燃焼時にCO₂を一切排出しないことから、従来の化石燃料に対する代替燃料として期待されている。だが、窒素が含まれているため、燃焼時に多量のNOxを発生させる可能性がある。そこで大阪大学と大陽日酸は、火炎の伝熱強化とNOx発生量の抑制を両立させる新たなアンモニア燃焼技術の開発に着手した。

一般的な工業炉で化石燃料を用いる場合、燃焼過程で生成される炭素の微粒子“すす”からのふく射が、炉内の伝熱に大きく寄与する。しかし、アンモニアは炭素原子を含まないため、すすからの固体ふく射による伝熱が期待できない。そのため、大陽日酸は“酸素富化燃焼”で火炎ふく射を強化することにした。

単純にアンモニアを酸素富化燃焼すると、火炎温度の上昇に伴ってNOx生成量が増加してしまう。だが、段階的に炉内の雰囲気を巻き込んで火炎温度を均一化する“多段燃焼”と組み合わせれば、火炎温度の上昇に伴うNOxの生成を最小限に抑えられることを発見。ふく射強度の空間分布計測を実施したところ、両燃焼技術を併用したアンモニア燃焼のふく射強度はメタン燃焼と同程度以上だった。

今回の研究成果は、従来の化石燃料を用いずに工業炉を運転してCO₂排出量を劇的に削減する道を開いた。大阪大学と大陽日酸は今後、工業炉の実生産に適用可能な規模である100kWモデル燃焼炉での火炎ふく射強化手法や、低NOx化手法のスケールアップに関する検証を実施し、アンモニア燃焼技術の工業炉分野への実装を目指すとしている。

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