- 2024-11-1
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昨今、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、DX(デジタルトランスフォーメーション)などのデジタル分野が急成長しています。このデジタル分野に欠かせないものが半導体で、その設計をしているのが半導体エンジニアです。
これからますます需要が高まることが予想される半導体エンジニアですが、仕事内容や必要なスキル、資格、年収などをよく知らない方も多いのではないでしょうか。この記事では、それらに加えて転職のポイントなども解説します。どうぞご覧ください。
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【目次】
半導体エンジニアの仕事内容
半導体エンジニアは、一般的に集積回路(Integrated Circuit:IC)の設計をするのが仕事です。CADやCAMなどのソフトウェアを使用して、ICチップ上にトランジスタやダイオード、コンデンサー、抵抗などの機能を持つ半導体素子をレイアウトします。レイアウト設計以外にも、仕様を決めるシステム設計や、論理回路を構築するロジック設計などがあります。
集積回路は性能の高さだけでなく、安全性やコストなども考慮した設計が必要です。設計業務のほかに、設計の知識やスキル、経験を必要とする新製品の開発プロジェクトや、完成品の品質チェックなどに携わることもあります。
また、「半導体プロセスエンジニア」も半導体エンジニアと呼ばれます。半導体プロセスエンジニアは設計ではなく、生産工程を計画または管理するのが仕事です。半導体製品を量産するために最適な装置や設備、材料などを選定し、その挙動を管理します。高品質かつ高効率な生産性が求められます。
半導体エンジニアで必要なスキル
電気や電子などの専門知識
半導体エンジニアが集積回路を設計する際には、電気や電子などの専門知識が欠かせません。集積回路は微細な電気回路で、膨大な半導体素子が電子部品として用いられています。いまや回路線幅はナノメートル(nm)単位にまで微細化が進み、1mm2当たりのトランジスタ数は1億個以上というレベルになっています。半導体エンジニアとして活躍するためには、大学や大学院などで電気工学や電子工学の専門教育を受けていると有利でしょう。
ソフトウェアスキルやプログラミングスキル
半導体エンジニアは、CADやCAMなどの専用ソフトウェアを用いて集積回路を設計します。そのため、電気や電子などの専門知識だけではなく、ソフトウェアを実際に操作できるスキルも求められます。また、シミュレーションやテストをする際には、ある程度のプログラミングスキルも必要です。組み込み系で必要とされる「C言語」のほかに、「C#」や「C++」などのスキルもあるとよいでしょう。
英語の読解力やコミュニケーション力
現在、半導体業界をリードしているのは残念ながら日本ではありません。アメリカや台湾、韓国などの海外勢がリードしています。そのため、海外の論文を読めるレベルの英語読解力があると、半導体エンジニアとして最新情報をキャッチアップしやすくなるでしょう。また、海外企業と協力してプロジェクトを進めたり、外資系の半導体企業に勤めたりする場合は、英語でのコミュニケーション力も求められます。
半導体エンジニアの今後
経済産業省の「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後(令和6年5月31日)」によると、AIやIoT、DXなどの発展により、半導体産業の市場規模は2025年には約75兆円、2030年には約100兆円になるとも言われています。こうした中、半導体エンジニアの需要はますます高まるでしょう。
半導体の世界市場を見てみると、日本はアメリカや台湾、韓国などに後れを取っているのが現状です。しかし、経済産業省は、かつて世界をリードしていた日本の半導体産業を復活させるべく動いています。
経済産業省は基本戦略として、2030年に国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連)を15兆円にまで伸ばし、半導体の安定的な供給を確保するとしています。そして、熊本県のJapan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社(JASM)や、北海道のRapidus株式会社(ラピダス)をはじめとする多くの半導体関連企業に多額の支援を始めました。
また、半導体人材を育成するため、北海道、東北、関東、中部、中国、九州の6地域で、産学官連携の地域コンソーシアムによる取り組みを進めています。
おすすめ資格一覧
おすすめ資格として、以下の4つを紹介します。
半導体製品製造技能士 | 厚生労働省認定の国家資格です。 集積回路チップ製造作業や集積回路組立て作業に関するスキルを証明できます。 |
半導体技術者検定 | 一般社団法人パワーデバイス・イネーブリング協会主催の民間資格です。 半導体の作り手と使い手の知識を証明します。 |
CAD利用技術者試験 | 一般社団法人コンピュータ教育振興協会主催の民間資格です。 2次元CADまたは3次元CADのスキルを証明できます。 |
機械保全技能検定 | 厚生労働省認定の国家資格です。 工場などにおける機械系保全作業や電気系保全作業、設備診断作業のスキルを証明します。 |
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半導体製品製造技能士
半導体製品製造技能士は厚生労働省認定の国家資格で、都道府県職業能力開発協会が実施しています。半導体製品を製造するスキルを証明できる試験です。
試験は「特級」「1級」「2級」があり、1級と2級は選択科目として「集積回路チップ製造作業」または「集積回路組立て作業」を選べます。合格率は特級が約20%、1級はチップ製造が約30%、組立てが約50%、2級はチップ製造が約55%、組立てが約65%です。
特級は、学科試験と実技試験で工程管理や作業管理、品質管理、原価管理、設備管理など、主に管理業務の知識やスキルが問われます。1級と2級の学科試験は、半導体や電気、製図、安全衛生などの知識が問われ、選択科目として、集積回路のチップ製造や組立てについて知識と実技が試されます。
半導体技術者検定
半導体技術者検定(SECC:Semiconductor Engineer Career Certification)は、一般社団法人パワーデバイス・イネーブリング協会が主催する民間資格です。「半導体の作り手と使い手の知識を客観的かつ公正に認定する唯一の資格」とされています。
検定の構成としては「エレクトロニクス1〜4級」と4段階になっていますが、1級は試験がありません。2級の試験が3科目あり、そのすべてに合格すると1級を申請できます。2級の3科目は、半導体の作り手の知識を問う「設計と製造」、使い手の知識を問う「応用と品質」、効率的な電力の扱いを問う「パワーエレクトロニクス」の3つです。
初学者から指導的立場のエンジニアまでを対象にしており、半導体に関する基礎知識から、実務的課題を解決できる専門知識までレベルに合わせて証明できます。
半導体エンジニアの年収相場
求人ボックス給料ナビによると(記事執筆時点の情報)、半導体設計の仕事の平均年収は約443万円です。しかし、年収レンジとしては364万円から1,103万円まで幅広く、企業規模やスキル、経験などによって差があります。
条件付きの求人データを見てみると、「未経験」は352万円で、「シニア」は522万円でした。また「英語」という条件が付くと600万円まで上がります。年収を上げるには、経験とともに英語などのスキルも上げるのが効果的です。
また、厚生労働省のjobtagによると、半導体技術者が属する「電気・電子・電気通信製造技術者(通信ネットワーク・電気工事技術者を除く)」の年収は688.2万円でした。エンジニアは総じてスキルや経験を増やせば、年収が上がりやすい職業と言えるでしょう。
半導体エンジニアの転職のポイント
半導体エンジニアは、産学官が一丸となって人材育成に取り組むほど人材が不足しています。これからますます転職のチャンスは増える見込みですが、転職のポイントとして以下の2点を解説します。
• 転職のときに注意すべきポイント
• 転職先を決める上で押さえておきたいポイント
それぞれ見ていきましょう。
転職のときに注意すべきポイント
半導体エンジニアは多くの企業で求められていますが、集積回路の設計はスキルや経験がないと難しいため、未経験者は採用されにくい傾向があります。例えば、Webエンジニアであれば、未経験でもプログラミングを独学やスクールで学び、Webサイトなどを自作してスキルをアピールできますが、半導体エンジニアの場合は、そのような即戦力となるようなアピールが困難です。そのため、未経験者は多くの場合、大学や大学院などで電気や電子の専門教育を受けていることが求められます。
また、スキルや経験があったとしても、企業が求めるスキルや経験、人物像とのミスマッチに注意しなければなりません。同じ回路設計でも、アナログ回路設計とデジタル回路設計では必要とされるスキルが異なります。また、企業によっては、設計スキルよりプロジェクトを推進できるようなリーダーシップやコミュニケーション能力を求めることもあるでしょう。ご自身のキャリアや資質を十分に生かすため、企業が何を求めているのかをしっかり把握することが重要です。
転職先を決める上で押さえておきたいポイント
スキルや経験のある半導体エンジニアにとっては、これからますます売り手市場になることが予想されます。より良い条件の企業に転職しやすくなるのはもちろん、半導体エンジニアとしての幅を広げるために、思い切ったキャリアチェンジができる機会も増えるでしょう。
半導体エンジニアの転職先は、半導体関連の企業だけではありません。昨今は、自動車関連や医療機器関連、AI、IoT関連など、さまざまな分野の企業が半導体エンジニアを求めています。
しかし、この売り手市場の勢いに乗って、ただ「給料が高いから」「今の職場が嫌だから」といった理由で転職先を決めるのは要注意です。あまり深く考えずにキャリアチェンジを繰り返してしまうと、年齢に応じたスキルや実績を身に付けていない、名ばかりのエンジニアになりかねません。
特に他業界へキャリアチェンジする際は、ご自身の中長期的なキャリアの見通しを立てることが重要です。もしキャリアプランに不安がある場合は、転職事情に詳しい人材紹介会社のメイテックネクストに相談できます。
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コンサルタントは、企業の採用担当者が求めているものを正確に把握しています。そのため、あなたのスキルや経験をどのようにアピールすれば選考に通りやすいかを的確にアドバイスできます。
また、半導体エンジニアは売り手市場ではありますが、第一志望の企業に対して条件交渉をするのは心理的に難しいものです。その点も、コンサルタントが間に入れば有利に進められます。
キャリア相談をしたからといって、すぐに転職活動をする必要はありません。ご自身の市場価値や目指すべき方向性などを確認し、より良い転職のタイミングを待つことも大切です。ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
半導体エンジニアの仕事内容や必要なスキル、資格、年収、転職のポイントなどを解説しました。
これからAIやIoT、DXなどのデジタル分野は、さらに加速しながら発展していくことが見込まれます。それに伴い、スキルや経験のある半導体エンジニアの需要はますます高まるでしょう。売り手市場のため、転職するチャンスには恵まれますが、後悔しない転職をするにはキャリアプランをしっかり立てることが重要です。
半導体エンジニアの仕事に興味のある方は、ぜひメイテックグループにお問い合わせください。
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fabcross for エンジニア 編集部
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