- 2024-7-12
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群馬大学は2024年7月10日、同大学大学院理工学府と海洋研究開発機構が、海洋環境にて生分解性プラスチックを速やかに分解できる技術を開発したと発表した。
生分解性プラスチックは、微生物により二酸化炭素と水に生分解できることから、海洋プラスチックごみ問題の解決手段として注目を集めている。
一方で、生分解性プラスチックの多くは、海洋環境では十分に分解しないことが課題となっている。海洋では土壌と比べ、微生物の数が極端に少ないことが原因の一つと考えられる。
今回の研究では、微生物誘引物質によりプラスチックを生分解する微生物を周辺に集め、分解速度を上げる手法を考案した。生分解性プラスチックに添加する微生物誘引物質として、16-ヒドロキシヘキサデカン酸(16HHD)およびポリカプロラクトン(PCL)を採用している。
同手法により、生分解性プラスチックの海洋での崩壊速度は、16HHDを用いた場合で18.4倍、PCLを用いた場合で7.8倍に向上。さらに、生分解性はそれぞれ90.4%、83.2%となった。
16S rRNA遺伝子アンプリコン解析により、これらの誘引物質が環境中の微生物群組成を変化させ、プラスチックの生分解を促進することを確認。さらに、分解過程で中間体が生じず、完全に無機化されていることも判明した。
今回発表された技術は、生分解性プラスチックの安定した海洋生分解性発現に寄与することが期待される。
関連情報
【プレスリリース】海洋環境で生分解性プラスチックを速やかに分解させるための技術開発に成功 〜海洋で微生物を集めてプラスチックを食べさせる〜 | 国立大学法人群馬大学