鉄鋼材料の高温加熱処理過程を「その場中性子回析」により直接解析することに成功――経験則に依存する加工熱処理の理論的な発展に貢献 京大など

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(左)この研究で使⽤したその場中性⼦回折実験⽤⾼温加⼯熱処理シミュレータ (J-PARC MLF) (右)加⼯熱処理中の中性⼦回折プロファイル

京都大学は2019年2月18日、韓国嶺南大学、米コロラド鉱山大学、日本原子力研究開発機構と共同で、「その場中性子回析」による鉄鋼材料の高温加熱処理の直接解析に成功したと発表した。

一般的に構造材料は、強度と延性を両立させることは難しい。しかし古来より刀鍛冶に代表されるように、500℃~1000℃程度の高温下で材料を加工することで材料の強度と延性を両立できることが、経験的に知られている。

このような技術は「加工熱処理」として、現代でも自動車用鋼板や建材などの鉄鋼材製造にも活用されている。しかし、高温度域での加工熱処理中のミクロ組織の形成過程などを直接観察することは困難なため、加工熱処理は経験則に強く依存するという課題があった。

今回の研究では、大強度陽子加速器施設・物質生命科学実験施設(J-PARC MLF)に、実際の鉄鋼材料製造プロセスを模擬した高温加工熱処理シミュレーターを導入。鉄鋼材料の高温加工熱処理中のその場中性子回析実験に初めて成功した。

解析は、加工熱処理における「動的フェライト変態」という相変態に着目して実施。動的フェライト変態は、その変態メカニズムや、そもそも変形中に相変態が発生しているかどうかも定かではなかった。今回の解析の結果、動的フェライト変態が生じていることが実証され、なおかつ変態機構が「拡散型変態」によることも明確になった。

今回の研究結果は、今後の鉄鋼材料製造における加工熱処理プロセスを、理論的な観点から飛躍させる可能性があり、鉄鋼産業などの産業界にも大きな波及効果を及ぼすものだという。

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