- 2024-11-25
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米テキサス大学は2024年10月22日、同大学らの研究チームが、高出力電子機器から熱を有機的に除去し、大規模な冷却装置が不要となる可能性のある新しい熱伝導材料を開発したと発表した。この熱インターフェース材料は、現在市販されているものよりも優れた熱伝導性を持つ。新材料は電子機器の温度管理方法を一変させる可能性があり、極小の半導体から大規模データセンターに至るまで幅広い応用が見込まれる。
AIの急成長と技術の普及から、データセンターの需要が大幅に増加すると予想されており、データセンターの電力供給と冷却にさらに多くのエネルギーが必要になる。米Goldman Sachsが2024年に発表した推計によれば、データセンターの電力需要は、2030年までに160%増加すると予測されている。AIに限っても、2023年から2030年の間にデータセンターの電力消費を年間200TWh増加させると推定されている。こうした電力需要の増加傾向が続く限り、「kWレベル以上の出力で動作する機器を、効率的かつ持続的に冷却する新しい方法を開発することが不可欠だ」と研究チームのGuihua Yu教授は述べている。
熱インターフェース材料は、電子機器によって発生する熱を放散し、電子機器を冷却する必要性を減らすように設計されている。しかし、これまではそうした材料が理論的に達成できるはずの冷却性能と、実際のテストで発揮される性能との間にギャップが生じていた。
研究チームは、メカノケミストリーと呼ばれる特殊なプロセスを用いた新材料によって、このギャップを埋めることに成功した。このプロセスでは、液体金属と窒化アルミニウムが精密に混合され、温度勾配を形成し、熱が効率的に移動する。この材料は、16cm2という小さな面積で2760Wの熱を除去でき、電子機器の冷却で重要な役割を持つ冷却ポンプのエネルギー消費量を65%削減できる。
データセンターでは、冷却に必要なエネルギーが全体の約40%を占めており、年間で約8TWhに相当する。研究者らは、この技術を業界全体に応用することで、冷却に必要なエネルギーを13%、データセンター全体のエネルギー使用量を5%削減できると見込んでいる。また、この放熱能力により処理能力の向上も期待できる。
研究チームは、この材料を実験室規模の小型装置でテストした。現在は材料合成のスケールアップを進めるとともに、実際のデータセンターでのテスト用サンプルの準備を行っている。
この研究はテキサス大学のほか、テネシー大学、四川大学、華中科技大学の研究者らと共同で行われ、2024年9月26日付で『Nature Nanotechnology』誌に掲載された。
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