早期故障を防ぐための電流絶縁コーティングを施した改良型ベアリング 独Schaeffler

軸受(ベアリング)を中心に精密部品を製造するドイツのSchaefflerは2025年1月15日、電流が流れることによる早期故障を防ぐためのコーティングを施した、改良型の電流絶縁ベアリング「J20G」シリーズを発表した。

近年、鉄道輸送用トラクションモーター、風力エネルギーシステム、駆動技術において、周波変換器を備えた電気モーターや発電機の使用が標準になりつつある。これは転がり軸受の内輪と外輪の間に電圧が発生するリスクをもたらす。電流が流れると、潤滑剤、回転するボールやローラー(転動体)、軸受の軌道面(レースウェイ)が著しく損傷し、ベアリングの早期故障を引き起こす可能性があり、対策が求められていた。

今回発表されたJ20Gシリーズベアリングには、最適化された「Insutect A」コーティングが施されており、電流に対する保護性能が大きく向上している。

Insutect Aは絶縁酸化アルミニウムコーティングで、新ベアリングの外輪と内輪の外側表面にプラズマ溶射を使用して塗布してある。今回、ベアリングのコーティングプロセスを改良することで、高湿度などの厳しい条件下でもより効率的な絶縁保護を可能にした。この絶縁コーティングは少なくとも3000ボルトの直流電圧に耐えられる上に、交流電流も直流電流も流れにくいものとなっている。また、非常に硬く、摩耗に強く、熱伝導性も高い。

このベアリングを使用することで、メンテナンスコストを削減し、機械の可用性と運用安全性を向上させ、グリースの寿命を延長することができる。

シリーズには「J20GA」「J20GB」「J20GI」の3種類があり、J20GAが幅広い用途向けの標準製品となっている。J20GBはコーティングが厚く、鉄道分野で起こりうるような高電流に対する保護性能を強化した。J20GIは内輪にコーティングを施したもので、最高の保護性能を発揮する。

Schaefflerは、電流に対して最高レベルの耐性を備えたセラミック転動体を使用したハイブリッドベアリングも提供しており、要件が厳しい用途や外径が120mm未満の用途にはこちらが推奨される。

関連情報

Bearings with optimized coating for improved protection against current passage

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