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中央大学は2025年2月25日、ブラシで塗ったり、筆で描いたりできる液体ペースト状の光学センサー素子の開発に成功したと発表した。カーボンナノチューブ(CNT)の吸光特性と、ビスマス化合物(Bicom)の熱電変換特性を兼ね備えたセンサーで、双方の相乗効果によって非破壊検査技術の向上への寄与が期待される。
非破壊検査では、主に透視による亀裂などのチェックと、材質の同定が行われ、電磁波(ミリ波:MMW、テラヘルツ波:THz、赤外光:IR)を用いた広帯域/多波長で高感度な画像計測が有効とされている。近年、「光吸収による発熱」と「その後の熱電変換」という2つの異なるエネルギー現象を融合した、光熱起電力効果(PTE)が動作原理として用いられるようになり、センサーの材料には、高い吸光率(A)とゼーベック係数(S:熱電変換信号強度に比例する物理パラメータ)の両立が求められている。しかし、従来型のPTE設計ではAかSのどちらか一方に高い物理特性を示す単一素材の採用が主流となっており、両方の特性の両立が課題となっていた。
このため、研究グループは優れた光学特性を持つCNT膜と、熱電材料として実用化も進められているBicomに着目した。原料のBicomチップを粉末粉砕処理したうえで、本来のSを保ちながらPTEセンサーの材料として必要な導電性を持たせるために、分散性に富む導電性高分子溶媒を添加しペースト状にした。
研究グループは既に、薄膜加工が可能なCNT分散液を開発しており、BicomのペーストとCNT分散液を混ぜ合わせてから薄膜化することで、CNT層の超広帯域な吸光発熱をBicom電極で熱電変換する薄膜のハイブリッドPTEセンサーを完成させた。実際に非破壊検査に使ってみたところ、保護手袋の中のナイフを確認できるなど、性能にも問題はなかった。
さらに、Bicomをペースト状にしたことで、検査素子を筆で描いたり、ブラシで塗ったりできるようにもなった。研究グループは、このペーストを使って、ボウル状の検査カメラを作製し、死角のない検査ができるようにした。
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ペースト加工仕様を活かしたハイブリッドPTEセンサーによる立体検査例
研究グループは今後も、ペーストに弾性樹脂を加えて高伸縮性素子化を図るなどの応用を進め、将来的には液剤ボトル化を目指すとしている。
研究成果は同月20日、国際科学誌『Small Science』にオンライン公開された。
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ブラシで塗って、筆で描いて作れる非破壊検査センサ カーボンナノチューブと無機粉末との混合で高感度光ペーストを生成 | 中央大学