外資系人材紹介会社のヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンは2016年12月8日、2017年の国内転職市場における10大トレンド予測を発表した。
1.人材のミスマッチが深刻化
現在、企業が必要とするスキルと、実際に求職者が持っているスキルが大きくかい離している。この傾向は2017年も続き、企業は希望する人材を確保するために厳しい争奪戦を勝ち抜かなければならなくなる。
2.バイリンガル人材の需要が拡大
2017年も引き続き、バイリンガル人材の需要が高まる見通しだ。高レベルのコミュニケーション能力を持つバイリンガル人材の積極的な採用が予想される。
3.問題解決スキルを持つ人材の需要が拡大
ITやコンシューマ業、製造業を中心に、ステークホルダーとの良好な関係の構築や、顧客からの信頼獲得に関して優れた実績を持つ人材のニーズが高まる。
4.デジタルスキルを持つ営業とマーケティング担当者への需要が拡大
新しいメディアやテクノロジーの急速な普及によって、デジタル分野での経験を持つ人材に対する大量の求人が生じている。
5.テクノロジー企業やeコマース企業への関心が高まる
2017年には若手人材を中心にテクノロジー企業やeコマース企業への関心が高まることが予想される。なぜなら、こうした企業に入社することは、需要の高いスキルの習得に役立ち、将来的なキャリアアップにつながると考えられるからだ。
6.フレキシブルな転職活動
中堅レベルの人材は今後、転職に際して特定の業界に固執することなく、さまざまな業界で働くことを厭わなくなる。特定の業界や企業でキャリアアップを図るよりも、自分のスキルを高めてデジタル分野での経験を活かす道を選ぶようになる。
7.ソリューション販売
セールスプロフェッショナルは2017年も引き続き、高い需要が見込まれる。多くの企業がより厳しい選考プロセスを設けるようになっているが、実績のある人材であれば貴重な人材と見なされ、複数の会社からオファーを得られる可能性がある。
8.HRビジネスパートナーの不足
業務の改善を図るために、2017年には多数の企業がHR部門でビジネスパートナーを新たに採用する見通しだ。しかし、この分野の人材は極めて不足している上に、職種自体が日本国内では比較的新しいため、優れた人材を巡って企業間で激しい争奪戦が生じると予想される。
9.オリンピック効果
2020年の東京オリンピックが近づくにつれて、カスタマーサービス担当者の需要が次第に高まり、特にバイリンガルの人材が強く求められるようになる。旅行・観光業界では2017年中に、大量の求人が発生する見通しだ。
10.新規テクノロジーの急成長
事業体制の最適化やマネジメント効率の強化のために、企業各社は社内システムのアップグレードを図っている。そのため、2017年はITスペシャリストの需要が高まる。自動運転、人工知能、ロボット工学といった新規テクノロジーの急速な成長に伴って、ITスペシャリスト市場はすでに人材不足の状況にある。日本国内における開発や製造をサポートできる高度なスキルを備えたプロフェッショナルの採用は、これまで以上に困難になると予想される。
ヘイズ・ジャパンのマーク・ブラジ氏は、「自動運転や人工知能といった注目度の高いいくつかの分野では人材不足が深刻なレベルに達し、限られた数の優れた人材を巡って企業は極めて厳しい争奪戦を勝ち抜かなければならなくなるでしょう」と述べている。