モーターの電気エネルギー損失を減らすナノ結晶薄帯の量産化にめど――電磁鋼板を幅広く代替の可能性

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ナノ結晶薄帯(幅127mmと245mm)

科学技術振興機構(JST)は2019年10月15日、超低損失ナノ結晶薄帯の量産化にめどが立ったと発表した。モーターなどに使用している電磁鋼板よりも電気エネルギーの損失をより少なく抑えられ、電気自動車(EV)用モーターなどの用途で幅広く代替できる可能性がある。

超低損失ナノ結晶薄帯は、東北大学が開発した新材料だ。質量比で93~94%の鉄を含み、構造は10nm程度のα-鉄のナノ結晶粒の周りにアモルファス磁性層を持つ。鉄損が低くエネルギー効率に優れ、飽和磁束密度が高く小型化が容易。通常はトレードオフの関係になるこれら2つの特徴を両立できるところに強みがある。

実用化に向けては量産化技術を確立できていなかったのが課題だったが、JSTが東北マグネットインスティテュートに実用化開発を委託。同社がこのほど、プロセス技術と標準設備の開発に成功した。薄帯製造装置や熱処理装置を新たに開発し、生産設備のるつぼ・ノズル・冷却ロールなどの耐久性を向上させる技術開発に注力。試作レベルでは幅245mm/厚さ30μm、生産安定性を加味した量産実証レベルでは幅127mm/厚さ27μmの薄帯を製造できたという。

モーター、トランス、リアクトルのコアや磁気シールド板などに使われる軟磁性材料の世界市場規模は約3兆円。超低損失ナノ結晶薄帯はそのうちの38%に当たる1兆1400億円ほどの領域を代替できると見込まれている。今後については、ナノ結晶薄帯の生産・販売を開始し、一層の品質向上と低コスト化、生産安定性強化に向けて検証を続ける計画だ。

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