宇宙での推進と極超音速機の両方に適したエンジン「Draper」――高温燃焼試験に成功

ロケットエンジンを開発しているアメリカのスタートアップ企業Ursa Majorは2024年5月30日、開発中の「Draper」エンジンの高温燃焼に成功したと発表した。Draperの開発は2023年5月に発表され、12カ月以内の高温燃焼を目標としていたが、それより早い2024年3月に成功に漕ぎつけた。

Draperエンジンは、推力4000ポンド(約1.8t)を持つクローズド触媒サイクルエンジンだ。貯蔵性に優れた非超低温貯蔵燃料を使用しているため、宇宙での推進用途に特に適しており、軌道上でも操作できる。さらに、貯蔵燃料を完全に使い果たすことなく、さらなるミッションを遂行できる可能性がある。

また、Draperはもともと極超音速用途向けに設計されたものだ。Ursa Majorは同社の既存の「Hadley」エンジンを設計、製造した経験を活かし、固体ロケットモーターの貯蔵性と、液体エンジンのアクティブなスロットル制御とスロットル範囲を組み合わせた。それにより、極超音速防衛に必要な操縦性と柔軟性を提供する。

Draperの開発とテストはアメリカ空軍研究所(AFRL:Air Force Research Laboratory)との契約による資金提供を受けている。この資金は、コロラド州BerthoudにあるUrsa Major本社にDraper専用のテストスタンドを建設するためにも使われた。これによりテスト能力が向上し、Draperエンジンの開発スピードが上がったという。

Ursa Majorは今後も積極的な開発を続け、飛行資格の取得に向けてDraperエンジンを完成させるべく取り組むとしている。

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Ursa Major Successfully Hotfires Its Draper Engine

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