光ファイバに匹敵——300GHz帯単一チャンネルの伝送速度が毎秒105Gbのテラヘルツ送信機

情報通信研究機構(NICT)、広島大学、パナソニックは2017年2月6日、300GHz帯単一チャンネルで伝送速度が毎秒105ギガビット(Gb)のテラヘルツ送信機を開発したと発表した。このテラヘルツ送信機は光ファイバに匹敵する性能を持つため、光ファイバには向かない用途での活用も期待できる。

今回開発されたのは、1チャネルあたり毎秒100Gb以上の送信速度を発揮するテラヘルツ送信機。毎秒100Gbと言えば、現在のスマートフォンと比較して100~1000倍高速で、DVD1枚分の情報を約0.5秒で伝送できる速度だ。開発されたテラヘルツ送信機は、シリコンCMOS集積回路を用いて作製されたため、将来この高速の通信速度を安価な電器製品などにもたらす可能性がある。

今回の研究成果は、テラヘルツ帯の高速無線通信が、光ファイバに匹敵する毎秒テラビットの通信能力に近づいたことを示している。光ファイバでは遠く離れた通信衛星とリンクできないが、テラヘルツ無線なら通信衛星への超高速リンクも可能だ。

これにより、テラヘルツ送信機は飛行機のWi-Fi接続を大幅にスピードアップできる。また、情報サーバから携帯端末へのコンテンツ高速ダウンロードや、モバイルネットワークの基地局間通信などに活用できる。

テラヘルツ無線のもう一つの可能性は、高速で遅延の小さな通信技術の提供だ。ガラス製の光ファイバを伝搬する光の速度は大気中よりも遅くなるが、テラヘルツ無線は大気中を光と同じ速度で伝わる。そのため、リアルタイム応答を必要とするアプリケーションでの利用も期待される。

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