NTNは2017年5月24日、独自形状の超低フリクションシールを採用したトランスミッション用の「超低フリクションシール付玉軸受」を開発したと発表した。従来の接触タイプシールより回転トルクが80%低減しているという。
自動車の省燃費化に伴い、トランスミッション用軸受には、長寿命とともに一層の低トルク化が求められている。トランスミッション内に発生するギアの摩耗粉など、硬質異物の侵入による軸受寿命の低下を抑制するため、従来は接触タイプシールの適用が標準的だったが、接触により回転時に引き摺りトルクが発生するという課題があった。さらに、近年のEVやHEVといった高速回転が必要となる用途では、シール部の周速限界の制約により、接触タイプシールの適用は困難だった。
今回開発した超低フリクションシール付玉軸受は、シールリップのすべり接触部に円弧状(半円筒状)の微小突起を等間隔に設けた新開発の接触タイプシールを採用。回転トルクを従来品比で80%低減し、非接触タイプシールに匹敵する低トルク効果を実現した。回転時には、微小突起によるくさび膜効果により、シールと内輪の摺動面の間に油膜が形成され、接触タイプながらシールの引き摺りトルクが大幅に低減される。
さらに、シールリップの突起は微小なため、潤滑油を通しても軸受に有害な硬質異物の侵入は防ぐことができ、軸受寿命も確保している。異物潤滑下寿命はシール無しタイプの同社従来品の5倍以上、シール周速は50m/s以上で、接触タイプシールの同社従来品の2倍以上となっている。
超低フリクションシール付玉軸受は、5月24日~26日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2017」に出展されている。