高校生が学びたい学問を発見するためのサポートサイト「夢ナビ」で、音を当てると液体が固まるという、常識を覆す発見についての大阪大学の直田健教授によるミニ講義が紹介されている。
この現象は、ある液体に3秒ほど超音波を当てると瞬時にプリンのようなゲル状に固まるというもので、2005年に大学の研究室で偶然発見された。それまでは、音(=振動)は固体を流動性のある状態にするというのが定説だったが、その科学的常識を覆すものだった。この液体は、anti-Pd2L2という、炭素をメインに水素や窒素、酸素、パラジウム(金属)などで作った有機化合物の分子を、エーテルやアルコール、メタノールなどの有機溶剤に約1%の濃度で溶かしたものだ。
液体中に散らばっていた分子が、超音波を当てるとなぜ集まるのか、当初は分からなかった。しかし研究を重ねるうち、この分子が洗濯バサミのような構造をしており、次々につながっていくことがわかってきた。超音波に一部の分子が反応して集まり、連鎖的に周りの分子も集まって、網の目のようにつながった分子が水分を閉じ込め、液体がゲル化する。
この分子が将来的に何に使えるかはまだ分からないというが、海に流れ出た油の回収などに利用できる可能性があるという。今後、さまざまな機関や企業によって、この分子が活用/応用され、新たな技術に結びつくかもしれないとしている。