- 2020-12-14
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- Joule, Long Yi, Low-Eガラス, スマートウィンドウ, ハイドロゲル, 南洋理工大学(NTU:Nanyang Technological University)
シンガポールの南洋理工大学(NTU:Nanyang Technological University)の研究チームは、ハイドロゲルベースの液体を2枚のガラスパネルで挟んだ「スマートウィンドウ」を開発した。従来の窓ガラスと比べ、空調にかかる消費電力を最大45%削減可能だ。研究結果は、2020年9月23日付けの『Joule』に掲載されている。
スマートウィンドウに封入する液体の組成は、ハイドロゲル、水、安定剤とシンプルだ。温度が上がると不透明になって太陽光をブロックし、温度が下がると元の透明ガラスに戻る。また、昼間の熱を蓄えて夜間にゆっくり放出する。これらは、ハイドロゲルの温度応答性と水の比熱容量の高さを利用したもので、オフィスビルで使用することで、優れた省エネ性能を発揮するとしている。
シミュレーションでは、建物の空調システムのエネルギー消費量を最大45%削減し、市販のLow-Eガラスよりも30%以上エネルギー効率が改善していた。夏に行った実証実験では、日中、通常のガラス窓が84℃まで熱くなったのに対し、スマートウィンドウは50℃に抑えられた。防音性にも優れ、従来の複層ガラスと比べて15%以上高い防音性能を示した。
「スマートウィンドウは、ハイドロゲルと水、両方のユニークな特性を兼ね備えている。製造工程も2枚のガラスパネルの間に混合溶液を注ぐだけと簡単だ」と、責任著者のLong Yi氏は語る。研究チームは現在、スマートウィンドウの商品化に向けて、ビジネスパートナを探しているということだ。